ギフテッド2Eの子が知能検査を受けると、よくみられるのが凸凹があるケース。いろんなパターンがあるのですがその中でもギフテッドの場合は「言語理解と知覚推理が高く、処理速度とワーキングメモリーが低い」というケースが多いと言われています。
息子もWISC-Ⅳを受けた結果、この「凸凸凹凹型」でした。結果についてはこちら☟
今回は「凸凸凹凹型」ケースの特徴と支援方法について実際の専門家のアドバイスを元に考えていきます。
WISC-Ⅳについては以前も書きましたが、WISC-Ⅳを受けるきっかけというのは、大体日常生活に困りごとがあったときではないでしょうか。
学校の先生に勧められたり、相談機関を訪れた先で「一度調べてみましょう」と言われて調べるケースが多いかと思います。
知能検査の目的は、発達障害を見つけるためではなく、日常生活で感じている困りごとを検査によって客観的に明らかにし、生活しやすくなるために必要な指導や援助の方法を得ることが目的となります。
日常生活に困りごとがあり、WISC-Ⅳを受けたらこんな結果が出たけど、どのようにしたら日常生活が送りやすくなるの?
当サイトは2Eについてメインで記載していますが、発達障害としての診断はされていません。
WISC-Ⅳの結果からもディスクレパンシー(指標間の有意差)はあるのですが、高IQの場合、知能でカバーしてしまうのでなかなか発達障害の診断はつかないとのことでした。息子は「ASD傾向がある」というような言い方をされました。
凸凹が思った以上にあり、生きづらさを感じているのは間違いないそうです。
その生きづらさを解消するために、ここ数年、色々な工夫をしてきました。その一部をご紹介します。
このタイプの特徴
・言葉で説明したり論じることが得意で語彙力も長けている
・論理的思考力が高い、目で見た情報からパターンを発見することが得意
・口が達者。このタイプには言語理解の高さを利用し、言葉で論理的に説明するのが効果的
・見通しを立てて行動することが苦手
・テストの点などはいいのに字が汚かったり提出期限が守れなかったり怠けていると思われがち
・頭の回転が速く考えていることに処理が追い付かないという脳のアンバランスさがある
言語能力が高い場合、喋りも上手いので、大人びた発言をするね、とよく言われました。
息子もそうですが、このタイプは大人とも対等に会話ができるの子が多いのではないでしょうか。
時には「生意気」とも取れるような口をきくかもしれません。
一方、見通しを立てて行動することが苦手だったり、一度で指示が通らなかったりするので、なんであんなことはできるのにこんなこともできないの?というようなことが起きてきます。
また、知的能力が高いにも関わらず、思い通りに書字や絵を描くことが苦手なため、本人はもどかしさを感じたり、劣等感を感じることがあります。
ワーキングメモリーとは?
ワーキングメモリーとは「作業記憶」とよばれ、情報の一時的な「保持」と「処理」する能力のことを指します。
口頭での指示理解、短期記憶に関する指標。
例えば、口頭で複数の指示をされ、指示内容を頭に記憶しながらこなす処理能力や、算数の繰上げ計算で、繰り上がりの数を頭で記憶しながら計算するときの働きのこと。
ワーキングメモリーが低いと起こる困りごと
・「○○したら次に△△してね。」という一度に沢山のことを言われると指示が通りにくい
・単純な計算はできても、複数の処理を含む文章題などはワーキングメモリーへの負担が大きいため困難が起こりやすい
・指示を忘れてしまって物事を最後までやり遂げられない
・忘れ物や物をなくしやすい
・ケアレスミスが多い
ワーキングメモリーは、実行機能(遂行機能)を支える重要な要素の一つと考えられています。
そのため、ワーキングメモリーの弱さは、子どもたちの生活場面全般(学校・家庭・地域社会)の活動に大きな影響を与えていると考えられます。
例えば、理科の授業で先生に、「黒板を書き写したら次にこの問題について考えて仮説を立ててから、教科書を持って外に移動します」
という指示をされた場合、途中までしか覚えていられないということが起こります。
ワーキングメモリーが低い場合の支援
①ワーキングメモリーの負担を減らす
まずは指示の仕方を短くしたり、簡潔に伝えることでワーキングメモリーの負担を減らします。一度に支持するのではなく、スモールステップで分けたり、複数のことを同時に行うような指示をしないよう工夫します。
また、口頭だけではなく、同時に指示を手書きで掲示したりすることで後で本人が確認ができるようにすることも効果的です。
我が家も「1日のスケジュール」と「1か月のスケジュール」を可視化し、部屋に貼り、目でも確認できるようにしていました。
学校では、口頭だけの指示ではなく、黒板に指示を書いてもらったり、掲示をお願いすることで指示が通りやすくなります。
②リマインダーを使う
指示を思い出すためのきっかけを多く与えるようにします。「次に何をするか」思い起こしやすくなるように、周囲の大人による声掛けやICTのリマインダー機能なども効果的です。
現在通っている中学校は、全て連絡はiPadなどのICTを使って連絡されます。このシステムはとても合っているようで、自分で提出期限も守るようになりました。
③集中できる環境づくり
「聞く」ことに集中できるような環境づくりも重要です。教室など、雑音や他の生徒の話声によって、注意を妨げる要因がたくさんあるため、できるだけ不要な情報が入らないような空間づくりも効果的です。
視覚的にも、運動場が見えたり、色々な子が視界に入るとそちらに気を取られてしまうことがあるので、小学校の時はできるだけ席は前の方にしてもらうようにしていました。
処理速度とは?
視覚情報を早く正確に判断し、理解し、反応する速度のこと。
見たものを書き写すなどの単純作業の速度。読み書きなど、学業に影響を与えやすい項目。
処理速度が低いと起こる困りごと
・読み書きの困難
・思考の柔軟性や切り替えの困難さ
・板書が遅かったり雑になる
・せかされるとミスが多くなったり乱雑になる
・単純な作業が苦手
ギフテッドは字が汚いと言われますが、これは頭のスピードと手先の処理能力の速さが異なるため雑になると言われたことがあります。そのため、書写の授業など、じっくり字を書くことだけに集中できる場合はそこそこ上手に仕上げることができます。
時間を計測しながらの100ます計算などはケアレスミスも目立ちます。
処理速度が低い場合の支援
①時間に余裕を持つ
時間的なプレッシャーを与えず、書くための時間を十分与えるのがよいとされています。板書が苦手なことが多いため、あらかじめ印刷したものをプリントとして配ってもらうなどの工夫が有効です。
②ICTを活用する
パソコンなどを使用することによって、劇的に改善することがあります。これも息子の学校は現在デバイスを使用して授業が行われているので、負担がかなり軽減されたようです。
授業もスライドを使うなどの方法であれば、板書も必要なくなります。
③字のきれいさなどを大目に見てもらう
小学生の頃は、低学年の頃は漢字ドリルや板書ノートを提出しても赤ペン直しだらけで戻されていました。高学年になるにつれて、先生にも大目にみてもらえるようになり、直されることはだいぶ減りました。直されることで本人のやる気や自己肯定感は下がってしまいます。
中学校になっても相変わらず自分しか読めないような字で書いていますが、一度も直されていないところをみると、先生方も慣れておられるような印象はあります。
能力のばらつきが非常に大きいので、大人側の要求水準を高くしすぎないというのも支援方法として言われました。
まとめ
WISC-Ⅳを受けると、今感じている生きづらさを改善するための手立てがみつかるかもしれません。WISCは、第三者に特性を伝えるための資料として役立ちます。
もちろん、これだけで全てが解決するような簡単な子育てではないのですが、「この問題にはこうしてみる」といった小さな支援が重なって、少しずつ全体的な生活がしやすくなっていくはずです。
また息子もそうでしたが、ギフテッドの凸凸凹凹型の場合、凹の部分も平均値より高かったり、あるいは平均程度であることも多く、その場合、先生からは理解されにくケースがあります。
実際に「これくらいできるはずだ」と期待されてしまい、期待外れの成果だった場合怒られてしまい、本人もやる気を失ってしまうということもありました。
もし、WISCを受けてみて、得意なことと苦手なことの差が大きいのであれば、検査結果を用いて先生に相談してみてはいかがでしょうか。
かならずしもこの型の場合はこれをすれば改善するとも限りませんが、参考になれば幸いです。