WISC-Ⅳについては以前書いたのですが、IQは努力したら上がるのか?あるいは、下がることもあるのか?という疑問についてです。
これは私自身気になって色々調べたのですが、3年生(9歳)以降はあまり変わらないので、知能検査は9歳前後に受けるのを推奨する、との記事を読んだことがあります。
一方、知能検査の4つの項目のうち言語理解に関しては、成育環境やどれほど本を読んだかで変わってくるというような記事も見ました。
また、ギフテッドといっても、知能の高さだけではなく様々な困難を持ち合わせている場合もあり、非行に走ったり、学ぶ機会をなくすことで、小学生の頃はIQ130ほどあっても高校生くらいに再度検査をするとIQ100くらいになっていることもある、と聞いたこともあります。
このように、まだまだ未知の部分が多いIQですが、2011年に英ロンドン大学の研究チームが英科学誌「Nature」に10代でIQは脳の構造の変化によって大きく変化すると発表しました。
昨今、「ギフテッド」という言葉をよく耳にするようになり、周知されてきた反面、IQを高めるための幼児教室や、ギフテッド塾のようなものを目にすることもあります。
あらかじめお伝えしておくと我が家は、知的好奇心を潰さないように、知的好奇心を高めるように意識して育児をしてきましたが、IQを高めようと育児をしてきたわけではありません。
今回は個人的な意見も含んでおります。あくまでも一個人の意見としてお読みいただけたらと思います。
IQとは何なのか?
知能指数(ちのうしすう、 Intelligence Quotient, IQ)とは、数字であらわした知能検査結果の表示方式のひとつである。知能が高いほど数字が大きく、知能が低いほど数字が小さくなる。
知能指数の算出には2種類あり、「生活年齢と精神(知能)年齢の比」を基準とした従来の方式と、「同年齢」を基準とした方式がある。現在では従来の方式は、「同年齢」基準よりも使われなくなりつつある。
引用元 Wikipedia「知能指数」
一般的に知能指数・IQと呼ぶものには、生活年齢と精神年齢の比を基準とした「従来の知能指数 (IQ)」(田中ビネーVの13歳以下の領域や、田中ビネー1987年版(第4版)の全年齢など)と、同年齢集団内での位置を基準とした標準得点としての「偏差知能指数(Deviation IQ, DIQ, 偏差IQ、偏差値知能指数)」の2種類があります。
世界的に最もよく使われるIQの指標として「ウェクスラー成人知能検査」、「児童向けウェクスラー知能検査」がありますが、それらの日本の知能検査は、大部分が結果表示に後者のDIQを採用しているとのこと。
つまり、実年齢に対してどの辺に位置するかを示すものになります。DIQを使用する場合は、分布が厳密であるため、年齢に関わらず、160程度が上限で、40程度が下限である場合が多いそうです。
言語理解(VCI)とは?
日本でよく使われているWISC-Ⅳとは、「児童向けウェクスラー知能検査」のことです。
4つの群(言語理解・知覚推理・ワーキングメモリー・処理速度)とそれぞれの下位検査から構成されています。
その中でも、知能検査でわかる能力の一つ「言語理解」についてみていきたいと思います。
言語理解指標とは
理解能力を測定する。
言葉の概念を捉え、言葉を使って推論する能力を測る。
言語理解の下位検査は以下の通りです。
- 単語– ある与えられた言葉の意味を説明する
- 類似 – 2つの語の共通点を説明する
- 理解– 社会的ルールや日常的な問題の解決について答える
- 知識(補足) – 一般知識についての質問
- 語の推理(補足) – ある特定の語につながるヒントに関する作業、各ヒントは対象物/語句/概念に関する追加情報になる
言語理解指標は語彙概念形成(子供の語彙理解力)の全体的な測定結果を示し、環境から学んだ知識から影響を受ける。
参照元 児童向けウェクスラー式知能検査 『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』 最終更新 2022年2月6日 (日) 17:30 (UTC)
「ギフテッド」自体が先天的なものと考えられており、「こうしたらギフテッドになる」というようには言わないのですが、「言語理解」に関しては、他の「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」に比べて比較的、成育環境や学習環境の影響を受けやすいと言われています。
言語理解が低いとどうなる?
■会話の際に相手が何を言っているのかわからない
■自分の伝えたいことが言葉にできない
■不自然な言い回しをする
■音読や作文が苦手
言語理解の弱さは、学校の学習活動と大きく関わってきます。
学年が上がるにつれ、語彙の知識や一般知識の蓄積がない場合、様々な学習に困難が生じることがあります。言語概念形成や意味理解に困難がある場合は、苦労しやすいと言われており、コミュニケーションや対人関係のつまずきにも関連してきます。
言語理解が高い人の特徴
■言葉でまとめたり説明するのが得意
■語彙力が豊富
■複雑な文章を理解したり、表現できる
9歳の時の知能検査で「言語理解」の数値が155以上(これ以上は判定不可)という数値を出した息子ですが、これはどういうことかというと、年齢に対して語彙力に長けており言葉で説明することがうまい、ということです。
ただ、親からすると「口が立つ」とか「生意気」といった言葉の方がしっくりきます。あー言えばこう言う、といった感じです。
あくまでも息子の場合なのですが、語彙力が豊富で知的というよりは、言い合いや論争が得意、という方が合っています。
頭の回転も早いため、次から次に思いついたことを口にするため、口下手な人は全く言い返せないということもあるようです。
息子の教育環境 幼少期の本との関わり方
息子は小さいころから絵本や図鑑が大好きでした。年齢別の成長記録にも記していますが、物の名前は絵本で覚えたと言っても過言ではありません。指差しをしたり、こちらが読むのを真似したり、1歳4か月の頃から動物と野菜のページは全て指差しができると育児日記に書いてありました。
私も絵本は好きだったので、毎晩読み聞かせをするのが日課でした。昆虫や乗り物の図鑑は、出版社によって載っているのものが違うので、何冊か買って見比べるのが好きでした。昆虫の図鑑だけでも6冊あります。
1歳から3歳まで住んでいたところは、徒歩5分くらいのところに図書館があったので、暇な日はよく2人で散歩がてら通っていました。
幼稚園も毎日図書室が開いている幼稚園だったので、放課後お迎えのついでに借りるのが日課でした。このように、幼少期は絵本に沢山触れる環境だったと思います。
小学校低学年の頃の本との関わり方
我が家は息子が小学校2年生から5年生の途中まで海外に駐在していました。
日本語の本は簡単には手に入らない状況だったので、最初の渡航段階でいかに沢山船便に本を積むかにかかっていました。
下の子がまだ年少だったこともあり、絵本だけでも100冊くらいは持って行ったと思います。
かいけつゾロリが大好きだったので、学校の図書館で借りれるものは借り、最新のものは購入して持っていきました。
帰国の際に誰かに譲ろうとしたところ、「ゾロリは宝物だから持って帰る」とのこと。今も本棚に30冊くらいあります。
その他には「10分で読める伝記」や「なぜ?どうして?2年生」といったシリーズも大好きでした。
教育環境としては、特に塾などは行かず、学校と通信教育のみでした。
小学校中学年の頃の本との関わり方
この頃はドラえもんの科学ワールドやサバイバルシリーズにとにかくはまっていました。学校に行く前も3冊くらい一気に読んでから行くのが日課でした。
10歳までに読みたいシリーズも大好きで、このシリーズも何度も読みました。
この頃の特徴としては、手に入る本が少ないため、同じ本を何十回と繰り返し読んでいたということです。
息子がWISC-Ⅳの検査をしたのはちょうどこの時期でした。日本のテレビは繋いでおらず、日本語に触れる機会はYouTubeか家族内の会話くらいでした。
小学校高学年の頃の本との関わり方
5年生から今に至るまではiPadやゲームに傾倒するようになり、読書の時間が見事にそういった電子機器の時間に充てられていきました。
賢いというよりはずる賢さに長けており、どんどん制限をすりぬけるようになり一日の大半をゲームやYouTubeに費やしていました。脳にとって、読書よりもゲームやYouTubeの方が興奮し、いわば中毒のような依存性があることが見ていて明らかでした。
帰国前の一年間はインターナショナルスクールに通っていたこともあり、日本語の本と触れることが極端に減ってしまいました。電子図書などもダウンロードしたり、勧めてみましたが、iPadを手にすると動画を見たくなってしまうので、電子図書は一度も読みませんでした。
帰国してからは、学校で借りてくる本は、釣り、テニス、バドミントン、卓球のやり方、といった「How to 本」ばかりでした。
最近息子に買って部屋に置いておいた本はこのあたりです。物語などよりもためになる本が好きなので与えられれば読むようです。
知能指数IQは下がるのか?
知能検査自体、前回調べてから数年は期間をあけないと検査はできないこともあり、我が家は今のところ検査をする予定はありません。
相変わらず説明したり論破することは得意ですが、本もほとんど読まなくなり、学校から帰宅後は公園かゲームの日々なので、語彙力も年齢相当になっているかもしれません。
このように、「言語理解」に関しては、年齢や環境は多少なりとも影響あるのではないかなと思います。
ギフテッドの分野に詳しい先生に言われたことは
知識だけ詰め込んだり、勉強だけしているようではだんだん下がる。人といろいろ関わってさまざまな経験をした子のほうがIQは維持できる。
小学生の時にIQが130以上あっても、ずっと引きこもっていたり、学ぶことをやめると高校生くらいで測ると100くらいになりますよ
とのことでした。
今まではさほど大きく変わらないと考えられてきたIQですが、冒頭でもお伝えしたように「IQは変化する」という事実をイギリスのロンドン大学の研究チームが「Nature」に報告したことも踏まえると、やはりIQは上がったり下がったりするのだと思われます。
なぜIQが変化するのかまではわかっていないようですが、最初から子供の能力を良くも悪くも決めつけないないほうが良いといったことが下記サイトに書かれています。
息子は本は読まなくなりましたが、勉強だけしているわけではなく、人と関わることも好きなのでもしかしたら維持できているのかもしれません。
個人的な意見になりますが、成育環境でIQが変わるからと言って、「IQを高めるための教育」が先行しそれが「ギフテッド教育」というようにならないといいな思っています。
ギフテッド教育は決して英才教育という意味ではありません。才能も困難も両方サポートすることで得意をさらに伸ばし、苦手を少なくしていくことこそギフテッド教育なのではないかと思います。