- ギフテッドやギフテッド2E児はインターナショナルスクールの方が合っているの?
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必ずしもインターナショナルスクールが合うとは限りません。その子の性格が大いに関係してくると思います。本人が環境を変えたいと望んでいる場合は、インターナショナルスクールに転校することも一つの選択肢として考えてみても良いかもしれません。
テストの点数はいいのに通知表の成績が悪かったり、学校に馴染めなかったり…ギフテッド児は日本の教育システムの中ではうまくいかないことがあります。
今回は思い切って学校をインターナショナルスクールに変えて1年間通っていたときのことです。インターナショナルスクールに通って良かったこと、悪かったことをギフテッド2E目線で記していこうと思います。
こちらの「ギフテッド児のお悩み別Q&A」のカテゴリーでは、実体験に基づいた筆者なりの考えをまとめています。
今まで、数々の医療機関・専門機関を受診して受けたアドバイスや、専門書に基づいて実際にやってみてうまくいったこと、いかなかったことについて記載しています。
ギフテッド児もさまざまなタイプがいるため、その子によっては効果がない場合もございます。その旨ご理解の上、参考にしていただければ幸いです。
インターナショナルスクールという選択肢
学校に行きたくない、学校を辞める
学校が大好きで友達と遊ぶのも大好きだったはずの子が行きたくないと訴えてきたことは、親としては衝撃でした。
ギフテッドについてはここまで色々特徴を書いてきたので、「ギフテッド≠優等生」であることは、なんとなくご理解いただいているとは思うのですが、我が家は一時期、日本の教育システムが合わず、学校を変えるという選択をしました。
以前、お子様に学校が合わないと感じたら学校を変えるのも一つの手だという記事を書きました。選択肢は色々あるかとは思うのですが、我が家は海外に住んでいたこともありインターナショナルスクールに転校するという策を取りました。
ギフテッド児の支援方法についてこちらのサイトではご紹介していますが、ギフテッド児を持つ親として出来る支援の一つは、「環境を整えること」だと思っています。
子供が困っているとき、正解は一つではないことを教えたり、親がこんな方法もあるよといくつか選択肢を出してあげる、そのようなことも大事な支援の一つではないでしょうか。
親も一生懸命情報収集をする必要がありますが、今はネットも普及していて色々な情報がすぐ出てきます。Chromeを使えば外国語のサイトも一瞬で翻訳してくれるので、とても便利な世の中になりました。
必ずしもみんなが合うわけではない
ギフテッドといっても色々なタイプがいるので、全員がインターナショナルスクールが向いているとは思いません。
ギフテッドは内向的なタイプが多いとも言われます。外国人は日本人に比べて、積極的だったり、意思表示がはっきりしていることが多いため、もし性格が内向的な場合は自分の言いたいことが言えないことも考えられます。
そもそも集団で学習する場が苦手、環境の変化が得意ではないという子もいると思います。
親が良かれと思ってしたことが、本人にとっては苦痛だったとならないように、本人の意向はよく聞く必要があります。
息子は外交的でどちらかというと人との関わり合いは好きなタイプです。学校に関しては、勉強は好きではないけれど、学校には友達がいるから学校が好きというタイプでした。
インターナショナルスクールに移るというのも本人の申し出によるものでした。
インターナショナルスクールも一つの選択肢にすぎず、必ずしもすべての子に合うわけではありませんので参考程度にして頂けたらと思います。
インターナショナルスクールに行きたい理由
現地校、オンラインのフリースクール、ホームスクーリング、などの選択肢も与えながら、息子自身がインターに移ると決めました。なぜインターに決めたのか聞いたところ以下の回答が返ってきました。
- 英語ができるようになる
- iPadで学習するのが楽しそう
- 授業内容が日本とは違うから授業が楽しめそう
- 日本語はみんなわからないから一人でしゃべっていても邪魔にならない
- 色々な国の子がいるから色々な国の文化を知ることができる
- 宿題が少ない
- 板書をしなくてよい
- 校庭が広い
- カフェテリアがかっこいい
- 日本人がいないから英語が上達しそう
- 英語がわからないから真剣に授業を聞かないといけないから手遊びが減る
彼なりの理由があって決めたことなので、英語ができない私としては大変だな…と思いましたが、サポートすることにしました。
本人も英語経験はゼロ。3年生から学校で始まった英語の授業のみでした。転校すると決めてから、大急ぎでオンライン英会話を探しました。
ギフテッド2E目線でみたインターナショナルスクールのメリット
英語が身につく
英語が全く分からなかった息子が1年で大分理解できるようになりました。
また、息子は耳がいいという特性もありリスニングは特に伸びたと思います。
帰国後になんの対策もせず受けた英検は準2級でしたがリスニングでほとんど点数を稼いでいました。
英語に関してはこちら☟
知的好奇心が満たされる
すべての授業が英語で行われるため、日本の学校のように退屈だからとぼーっとしているわけにはいきません。
全ての指示を聞き逃さないよう、授業中は集中していたようです。
また、授業スタイルも理科は外に出て実験や体験をして学んだり、社会もプレゼン方式だったりと、受け身の授業ではなかったので退屈しなかったようです。
授業では紙と鉛筆ではなく、iPadを使用するスタイルも合っていました。
学校に全て置いておくシステムなので「忘れ物」をしない
日本の学校では、色々な提出物が毎日あります。宿題、集金、手紙の返事などなど…それに加えて毎日時間割に合わせた教科書をランドセルに詰めて持っていきます。忘れ物をする度に先生に怒られていました。
それがインターは、教科書は基本学校に置いておき、宿題のみ持ち帰ります。親あての手紙も全てメールなので、気づいたら期限が過ぎていた!なんてこともありません。毎日持っていくものと言えばiPadとお弁当のみでした。忘れ物が日常茶飯事だった息子にとってはとても気が楽だったそうです。
ノートは単語テストとwritingの授業のみ使用 iPadやPCで完結できる
ギフテッド児は字を書くことが苦手な場合も多く、板書が苦痛に感じることも。
ギフテッド児の字が汚くなる理由として、動作よりも頭が早く動いているから汚くなるとも聞いたことがありますが、息子もその一人。
「書写」と「漢字テスト」以外の字は殴り書きのように書きます。
現在は公立の小学校に通っていますが、ノートを書くことが無駄だと言い、今も国語の授業はノートは書いていないそうです…。(先生には特性を伝え済みです)
インターナショナルスクールのときは、「ノートに板書をする」ということはなく、プレゼンなどもiPadで作成したものをプロジェクターに映して発表するそうで、これも息子にとっては負担が減っていました。
できないことをできるようにするのでなく、できることを更に伸ばす
みんなと同じにできないから怒られるということはありません。それぞれの個性を大事にしてくれるのはとても感じました。
また通っていた学校は少人数制だったので一人ひとりをよく見てその子に合った指導をしてくれました。
例えば英語は初心者なので、みんなが第二外国語を学んでいる時間はEALといって初心者向けのプログラムを受けていました。一方で、算数は得意なので算数だけ一つ上の学年のYEAR6を受けるということもありました。
とにかくほめてくれる 怒られても怒られている気がしない?!
だんだん慣れてくるとクラスメイトとふざけたり無駄口が多いと注意されることもあったようです。
これはよかったのか悪かったのかちょっとわかりませんが…英語なのでどこまで本気で怒られているのか伝わりづらく、本人の自己肯定感が下がるということもありませんでした。
インターナショナルスクールのデメリット
たくさんメリットがあるようにも思えますが、もちろんデメリットもあります。
日本の勉強が遅れる
日本の勉強の遅れがでてきます。海外であれば補習校に通うという方法もありますが、国によってはない国もあります。
息子は補修校に通っていなかったので、インターナショナルスクールに通っていた一年間の漢字はごっそり抜けてしまいました。
また、日本の4年生といえば社会は都道府県を覚えますが、こちらも抜けてしまいおそらく今も覚えていないと思います。
理科も実験や植物については学んではいましたが、理科も5年の2学期に日本の学校に戻ったときは苦戦していました。
インターナショナルスクールに通いながら塾に行き、日本の学習を補うという方法もありますが、費用的にも負担になりますし、本人の負担も大きくなります。我が家は通信教育(Z会の通信教育 中学受験コース
途中からは新型コロナウィルスの流行もあり、海外への郵送物がストップしてしまいました。その点タブレット学習のスマイルゼミはよかったです。
日本の学習スタイルに戻るときにまた苦労する
一旦慣れてしまうとまた日本のやり方に戻るときに苦労します。
息子はわずか1年のみインターナショナルスクールに通ったので、すぐに日本の感覚は思い出したようですが、毎日の宿題、時間割、手紙、などはやはり抜けがあります。
学費が高いのでお金がかかる
圧倒的にお金がかかります。
海外駐在の場合は何割か会社から負担があったり、日本人学校がない地域だとインターナショナルスクール代が無料だったり会社によってそのルールはまちまちですが、周りを見ても全額自己負担しているご家庭はいませんでした。
とはいえ、我が家の場合は多少補助はありましたが、やはりある程度まとまった額はかかりました。
日本にもインターナショナルスクールは数多くありますが、金銭的に余裕がないと通えない学校という位置づけになると思います。帰国時の学校をどうするか悩んだ際に、いくつか調べましたがなかなか簡単に払える額ではないなと思いました。
一条校でないと中学受験をする場合選択肢が少なくなる
インターナショナルスクールは日本で通う場合、多くは学校教育法第134条に規定する「各種学校」として認められている学校となります。
教育法第1条に規定する学校(以下「一条校」という)として認められたものでないと、義務教育課程を修了したことにならず、中学進学の時に困る可能性が出てきます。
一条校に通う生徒と、それ以外のインターナショナルスクールに通う生徒とでは中学受験や進学の時の選択肢が随分異なってきてしまうのです。
現在国内のインターナショナルスクールで一条校となっているスクールは数校しかありませんので、その辺りは選択時に知っておいたほうが良いかと思います。
ただし、私立中学校を受験する場合、国内インター生も帰国枠入試の資格を与えている私立中学校がいくつかあるのでそういった学校を受験するといった方法はあります。
まとめ
以上、インターナショナルスクールに通ってみて、良かったことと悪かったことをお伝えしてきました。
学校をどうするかと言うのは子供の将来にも関わることなので、メリットとデメリットを十分理解したうえで慎重に判断する必要があります。
息子の場合は、いつの間にか学校が居場所となり、学校自体が生きがいとも言うほど居心地のいい場所ができたのは本当によかったです。
最近当時を振り返って、「インターは出来ないところを出来るようにするのではなく、得意なところを伸ばしてくれるやり方が良かった」と言っていました。
何より、毎日が刺激的で新しいことを学べる環境が、知的好奇心を満たしてくれたようです。
今通っている公立の学校も先生や友人には恵まれてはいるものの勉強面は退屈なこともあるようで、やっぱりインターに勝る学校は今のところない、と言っていました。
たった1年しか通えませんでしたが、インターナショナルスクールに通ったことはプラスの経験になったと思います。