「ギフテッド」という言葉は数年前息子が認定された当時より、最近はよく耳にするようになりました。
高IQだったり、ずば抜けた才能を持っているといわれる「ギフテッド」ですが、では、どこで、どのように診断されるのでしょう。
ギフテッドに「診断」という言葉は使わない
まず初めにお伝えすると、「ギフテッド」という言葉は医学用語ではないため、正確には「診断」という言葉は使いません。
ギフテッドは病気でも障害でもないので「診断」という言葉は使いません。「認定」という言葉を使ったりします。
我が子も「認定」というような言い回しで発達クリニックの専門医(小児科・児童精神科)にして頂きました。そのため、ここでも「認定」という言葉を使っていきます。
ギフテッドの診断方法は?
日本では、先述の通り、診断・認定できる病院というのは公にはなっていませんが、発達外来のある小児科や、児童精神科などで相談することができます。
我が子が認定を受けた頃(2019年頃)より、だいぶ日本でも認知が進んだと感じています。インターネット上でも「ギフテッド」に関して記載のある病院を見かけるようになりました。
国内では有名などんぐり発達クリニックのHPにはこのような記載があります。
「ギフテッド」は以下の領域の1つあるいは複数で「並外れた力量を見せる。あるいはその素質のある」様々な人を広く捉えたカテゴリーです。(>2SD)
どんぐり発達クリニックHPより
知的能力全般、特定の学問領域、創造的思考、リーダーシップ、ビジュアル・アーツやパフォーミング・アーツの5分野について言われています。
知的能力>IQ130を除けば、各専門分野の判断に長けた人以外は難しいと思います。
知的能力以外の分野のギフテッドである場合、判断が難しいことが伺えます。
日本では「ギフテッド」の定義が明確ではないことや、ギフテッド自体が病名、診断名ではないこともありなかなか認定できる機関が少ないのが現状です。
息子が一番最初に認定された病院は、「ギフテッド」専門の病院ではなく、HPでギフテッドについてはアナウンスもしていない発達クリニックでした。
出会った先生が、たまたまその分野に長けておられる先生だったようです。
結局は医師や心理士さんにギフテッドに関する知識があるかどうかにかかっています。
ギフテッドを判定する際に、知的水準が上位3~5%という基準も広く使用されており、IQ130以上がギフテッドとみなされることもあります。
しかし、最近は単純にIQ(知能指数)だけではなく、ギフテッドに共通してみられる行動特性というものがあり、行動特性もあわせて判断することが多いようです。
また、インターネットのIQテストや無料のギフテッド診断テスト、脳波の検査などで測れるものではありませんのでご注意ください。
我が家の認定までの様子
実際に我が家のケースをお伝えすると、「うちの子賢いかもしれない、知能検査を受けてみたらギフテッドだった」というわけではありません。
こちらのブログでお伝えしている通り、当時、学校でのトラブルが頻繁に起きたり、学校の先生から毎日のように電話がかかってきました。当時の様子はこちら☟
何か発達の問題があるのかもしれない
と思ったのが発達クリニックを受診するきっかけでした。診察室では母親である私、息子と別々に数分ずつの面談をしていただき、後日知能検査(WISC-4)を受けることになりました。
専門医によって医療機関にて「認定」されましたが、知能検査の前段階、成長の過程や現在の困りごとを伝えた時点で「ギフテッドかもしれませんね」というような言われ方をしています。
その後、面談からの所感と、検査結果を見て「ギフテッド2Eということで良いでしょう」とのことでした。
先ほどギフテッドを診断する機関はないと記しましたが、ギフテッドに関して知識をお持ちの専門医であればこのような言い方をされることはあると思います。
ギフテッドは、生まれつきとされており、早期教育や勉強を努力して後天的にギフテッドになるというような言い方はしません。
ギフテッドの顔立ちや顔つき
ギフテッドと検索すると「顔立ち」「顔つき」と検索ワードに出てきますが、ギフテッドは顔立ちや顔つきではわかりません。また、顔つきによってギフテッドかもしれないというようなこともありません。
「ギフテッドは中性的」といったこともサイトで見かけることもありますが、これは顔つきがというわけではなく、内面的に中性的ということはあるようです。台湾のオードリー・タンさんも公表していますが、実際にトランスジェンダーであるギフテッドは割合的に多いようです。
親は見抜けるか?
四六時中子供の成長を見ている親であり、ギフテッドの知識がある親であれば、比較的早く子供がギフテッドかもしれないと気付くかもしれません。
私自身はギフテッドの知識が全くなかったため、小学3年生の時、医師に言われるまで気付きませんでした。
「なんとなく成長が早いけど、育てにくいかも」と思い、発達障害を疑っていました。
「ギフテッドといつわかるか」について記したとおり、ギフテッドといっても100人いれば100通りなのではっきり〇歳でわかるといった定義はありません。
アメリカ教育省による、マーランドレポート(1972)によるギフテッドの定義は、以下のようにしています。
資格を有する専門家により判定される、ずば抜けた才能ゆえに高い実績を上げることが可能な子どもである。
引用元 マーランド・レポート(EDUCATRION OF THE GIFTED AND TALENTED)
これはアメリカの場合となりますが、この定義によると、見抜けたとしてもアメリカでは専門家の判定が必要であることになります。
親が気付きやすいギフテッドの特徴
親にギフテッドについての知識がある場合、大体の親は育児をしていく中で「わが子がギフテッドかもしれない」と思うきっかけがいくつかあるかもしれません。以下のような特徴がみられた場合、ギフテッドの可能性があります。
同年代の周りより成長が早い
並外れた記憶力
物事の理解が早い
多方面に好奇心が旺盛
感受性が高い
繊細だったり敏感だったり感覚過敏がある
得意な事と苦手な事の差が激しい
など
ギフテッドの見られる行動特性については、具体例とともに詳しくこちらに記しています。
ラベリングの意味はない
ギフテッドの育児は孤独です。なぜならギフテッドを仮にIQ130以上だとした場合、人口の2%ほどと言われているため、同じような悩みを抱えている人が近くにいないのです。
ママ友に相談したところで、「賢いからすごいね」と相手にとって嫌味に聞こえてしまうこともあるでしょう。
「ギフテッド」は、医学用語でもなければ病気でもありません。そのため、我が家の場合は治療というよりは、「生きづらさについて相談ができたりアドバイスをもらえるところ」という認識で通院していました。
社会に出る前に支援する
かかりつけの先生が、こうおっしゃっていたのがとても印象的でした。
結局「ギフテッド」とラベリングすることには大きな意味はなく、大人になって社会に出る前に、適切な介入をし、生きづらさを感じている点や、困りごとを支援していくことが大切になってきます。
子育てにおける個人的なギフテッドのラベリングについての考えについてはnoteにて綴っています。
ギフテッドの相談機関は
ギフテッドの認定は、専門的な知識のある医師ではないとできませんが、知能検査や発達特性の相談などは発達障害の医療機関でも行ってくれます。
自治体によっては、発達障害児医療機関リストをHPで公開しています。(許可が取れた病院のみ掲載されているので全ての医院が掲載されているわけではありません)
下記サイトは、各自治体のHPに掲載している発達障害を診ている医療機関リストの一部です。
ギフテッド専門の病院ではないですが、どのような特性を診ているか記載してあるのでご参考までに。
高額なカウンセリングにご注意
発達クリニックや児童精神科をご紹介しましたが、予約を取るのも至難の業で3ヶ月先ということも。大きな病院の場合は、紹介状が必要な場合もあります。
今すぐ相談したいとき、心理士によるカウンセリングで相談するという方法もあります。
その場合、保険診療ではなく、全額自己負担になるため、高額な金額がかかるところもあります。
相談する時というのは、切羽詰まっていたり、藁にもすがる思いの時が多いのではないでしょうか。そんな時に弱みや不安に漬け込んでくるケースもあるので注意が必要です。
相談しても一回では解決策をアドバイスしてくれないような、詐欺まがいの高額なカウンセリングもあります。時間相応な価格で受けられ、かつ質の高いカウンセリングサービスを探すようにしましょう。
また、ギフテッドに関しては一度の面談や、様々な成育歴の聞き取りなしでは認定はできないと思ってよいと思います。
我が家は民間のサービスは参加したことはなく、医療機関、心理士、公的機関しか利用していませんが、親子で信頼できる相談機関と繋がっておくことで気持ち的に安心しました。
判断方法のひとつWISC-Ⅳを使用し知能検査をする IQはあくまでも目安
日本では多くがやはりWISC-Ⅳ(最新版はWISC-Ⅴ)を利用して認定されるケースが多いようです。
WISC-Ⅳとは5歳から16歳11か月を対象としたウェクスラー式知能検査です。簡単に言うとIQを調べる検査です。
全体的な知的能力の他、記憶や処理能力も測ることができるため、発達障害の診断や児童の支援の手がかりを得ることを目的に世界で利用されている児童用知能検査です。
幼児用や大人用は別にあり、使い分けられています。
検査自体は医療機関や教育機関、また子育て支援センター、児童相談所、発達障害者支援センターといった公的機関でも受けることができます。医療機関で受ける場合は有料になります。
IQ130以上というのが一つギフテッドの目安とされていますが、IQはあくまで目安であり、芸術の才能などはIQでは測れないためIQのみで判断するというよりは、ギフテッドの特性を持っているか同時に見た上で認定されるケースが多いです。
IQ130以上というのは全体の2~3%なのでクラスに一人はいる計算になるのでもしかしたら身近にもいる可能性はあります。
ただ、この検査自体がそもそも5歳以上を対象としているものであるということと、とても集中力が必要だったり、時間がかかる検査なので小学校入学後のほうが良いようです。
息子は9歳の時に公的機関で受けましたが、時間制限のない項目に関しては、息子は正解したい気持ちが強かったそうで4時間以上かかりました。(1時間から2時間程度で終わる場合もあります)
つまり2、3歳でこの方法で認定を受けることはできません。
また、一度受けた場合は、回答を記憶して正確な結果がでなくなるため数年は間隔を開けないと受けることができません。
親への聞き取りや本人への質問をし行動特性などから総合的に判断
発達について診断をするときは、IQの数値や脳波だけでは判断することはありません。
一つの参考にはしますが、さまざまな特性を見た上で判断します。
息子の場合、たまたま最初にかかった病院の先生がその分野に精通しておられたので、誤診はされませんでしたが、この段階で発達障害だと誤診されてしまうケースが多々あるようです。実際親である私はこの子は発達障害だろうなと思い受診しています。
以前も書きましたが、発達障害とギフテッド2Eでは支援の仕方が異なるため医師の診断がとても大事になってきます。
ギフテッドかもしれませんね
息子はこのWISC-Ⅳを受ける約1年前にすでにギフテッドかもしれませんね、と言われていたのですが、先生に何が判断につながったのか聞いてみました。
※既に何度か息子と先生は面談をしているので、初診で言われたわけではありません。
・誕生の時からの成育歴すべての項目において成育が標準より早い
・毎回20分くらい息子と二人きりで会話をした際の、応答の仕方が年齢よりも上
・問題行動とみられる行動も、本人に話を聞くと彼の行動全ての行動に理由がある
学校での問題行動や、授業中に消しゴムに穴をあけることも、当てられる前に喋ってしまうことも、全ての行動に理由があります。そして2年生の会話の仕方ではないですとおっしゃっていました。
会話の内容としては、何の教科が好き?からはじまり、苦手な教科、学校のこと、今はまっているのも、などたわいもない話だったようですがそこから見抜くことができるようです。耳が良いのもきっとそうでしょうとのことでした。
ちょうどこの頃に、ギフテッドはこの本を読まずしては理解ができないのではないかなと思うくらい素晴らしい本が出版されました。まず家族が理解をしようと、祖父母、兄妹、親族みんなで各家庭1冊購入し、熟読しました。
まとめ
このように息子は9歳4か月の時に「ギフテッド2E」と認定されました。
その後かかった別の発達クリニックでも言われることはほぼ同じでした。
この段階がもしかしたらギフテッド児を育てる上で、一番のターニングポイントではないかと思っています。ギフテッドは発達障害と誤診されることが多いと言われています。このタイミングで、正確な診断がないと支援方法も異なってきます。
WISKC-Ⅳの結果についてはこちらの記事をご参照ください。
大体WISC-Ⅳを検査してみようと思ったり、発達クリニックを受診するときは、育児において何か困りごとがあるときかもれません。「早くなんとかしたい、なんとかしなければ!」と藁をもすがる思いで、相談機関に問い合わせたら半年待ち…ということもあるかもしれません。
しかし、もし「ギフテッドかも」とわかったところで、その子をラベリングすることには意味がありません。
大切なのは、子をよく見て、今できること、支援をスモールステップで進んでいくのが一番だと思います。
ギフテッドはなんでもできる優秀な子という意味ではありません。
ギフテッドは、確かにずば抜けた才能を持っていたりしますが、困難も持ち合わせているケースがほとんどです。
ギフテッド児は、その子が抱えている困難に対して適切な支援が必要な子なのです。
ギフテッドかどうかより、周りの大人がその子の困難に気づき、どうサポートしていくかで、本人の自己肯定感や、将来的に社会に出てからにも大きく影響してくるのではないかと思っています。
この時、医師に「育児本通りなんて行きませんよ、このタイプの子にはそれは諦めてください、お母さん」と優しく言われました。
私自身この日を境に、息子の育児に関する考え方を意識的に変えました。まずはギフテッドにまつわる本を買い知識をつけるところから始めました。
それでもうまくいかず、わからないことだらけで立ち止まり、心理士さん、カウンセラーの方などのの助けを借りることも多々あります。まだまだぶつかることも多いのも事実。ただ息子にとって一番の理解者であろうと心がけています。
ブログでは伝えきれていないことをnoteにて有料記事にて公開しています。今後も当サイトと分けて執筆予定です。