うちの子、育てにくい子かもしれない
息子は当時小学2年生。年齢で言うと、8歳頃でした。
ネットで検索すると、1歳や3歳児の育てにくいエピソードは色々と出てくるのですが、8歳や9歳の育てにくさの特徴はイマイチ検索しても出てきませんでした。そこでいつも出てくるのは「発達障害」の文字。
もしかしたら発達障害かもしれない
そもそも「育てやすい」「育てにくい」とはどういうことなのでしょう。
育てにくさの感じ方は人による
うちの子はなかなか寝ない。癇癪がひどい。
こだわりが強い。
うちの子は人見知りが激しい。内向的。
人と関わろうとしない。
「育てにくい子」という定義はなく、親子の数だけ親子のタイプがあるように、育てにくいと感じている事柄も人によるのではないでしょうか。
実際ママ友と会話をしていても各家庭、悩みはそれぞれで、「悩みが全く一緒」というような友人はいません。
では、「育てやすい子」とはどんな子なのでしょう。
・聞き分けのいい子
・言うことを聞く子
・勉強を言われなくてもする子
・身の回りのことができる子
・穏やかな子
・泣かない子
・よく寝る子 …etc
どうでしょうか?なんとなくイメージで挙げてみましたが、同じ「育てにくさ」と「育てやすさ」だったでしょうか?
いくつか項目に当てはまる方もいらっしゃるかもしれませんが、だからと言って全員がそう感じるわけではないでしょうし、実際に感じている育てにくさは異なるかもしれません。
結局、育てやすいも育てにくいも親によって感じ方は異なります。もしかしたら自分自身の子供の理想像や期待とずれている時に「育てにくさ」を感じているだけかもしれません。
私にとっての育てにくさ
当時私が「育てにくい」悩んでいたことは、以下のようなことです。
・学校からしょっちゅう電話がかかってくる
・些細なことでもすぐカッとなる
・女の子とすぐ口論になる
・親や先生に反抗的な口をきく
・やらなければならないことに取りかかれない
・切り替えが苦手
・「一般的な」「常識的な」ことが通用しない
・「言うこと」を聞かない
・何回言っても直らない
・言葉遣いが悪い
・時間を守らない
・年相応のことができない
あまり手のかからなかった息子が小学校に入り、年齢が上がるにつれてだんだん、「私にとって育てにくい子」に変わりました。
学校からは頻繁に電話がかかってくるようになり、当時の私といえば、「なんでそうなるの?」と理解ができずイライラしていました。
この「理解ができない行動」が、私にとって「育てにくさ」となっていました。
また、感情のコントロールができなかったり、人の気持ちがわからず傷つける言葉を発してしまったり社会性が身についていないことが悩みでした。
このように「世間には迷惑をかけてはいけない」という私自身の固定概念から外れる行動にも育てにくさを感じていました。
当時は、まだWISC(知能検査)もしておらず、本人がなぜそうなるかを鑑みず、私自身の常識や世間の一般論の枠にはめて子育てをしていました。
その枠からはみ出るから「育てにくい子」と感じていたのだと思います。
銃ブームからWISC-Ⅳを受けるまで
その後、私自身の育児に対する価値観をガラリと変えるきっかけになったことがありました。
その時のエピソードをご紹介します。
小学生の頃、銃ブームがやってきます。100均の鉄炮にも色々な種類があり、定番水鉄砲、大きなピンポン玉が出るタイプ、吸盤になっているタイプ、スポンジが出るタイプ…100均に買い物に行くとこっそり鉄砲をかごに入れられていることもありました。
この頃、コロナウィルス感染症の流行により学校が休校になり、時間があることをいいことに工作で自作の銃をつくるようになります。そして人をめがけて発射するようになります。
人に向けて打ってはダメ。
もし自分にされたら危ないよね?怖いよね?
スポンジだから痛くないし大丈夫。
おもちゃだから危なくないよ。
頭で考えればわかるよね?とこちらが言いたくなるようなことも、ルールだからダメ!というような説明では「ああそうか、ダメなのか」とは納得しません。
銃刀法違反の法律を引っ張り出してきて説明もしましたが、ルール違反により取り上げられることになると、異常なほどに感情的に暴れ始めます。
この世の終わりかのように怒り、そのエネルギーはもう手に負えなくなり、手や足も出る始末。
母親である私は、日々起きる「なんでわからないの?」という息子の理解できない行動と、常識の枠からはみ出た行動、一筋縄でいかない育児にいよいよ限界を感じてきます。
そして、この銃ブームがきっかけで発達クリニックを受診してみようと決心します。そこで、医師の勧めもあり、WISC(知能検査)を受けてみましょうとなり、公的機関にて受けることになりました。
結果は、
発達の凸凹(ディスクレパンシー)がとても大きく、本人も生きづらさを感じているでしょう
とのこと。
そこで初めて、私は息子のことを全く理解しようとしていなかったことに気付かされます。私が育てづらいと感じているだけではなく、本人も生きづらさを感じているとはそれまで考えたこともありませんでした。
この病院の受診と検査がきっかけで、私の育児はガラリと変わります。変わるというというよりは「変えた」と言った方がいいかもしれません。
※結果とその結果からわかることについてはこちらの記事で記載しています。
急に自分の子育て法を変えるのは難しかったのですが、まずは私自身の主観で決めつけるのではなく、息子の考えや意見を聞いてから諭すように心がけました。
先ほどの銃を人に向けることに関していうと、息子にとって、銃づくりにおいて最も重要なポイントはどうやったら弾が速く遠くまで正確に飛ぶか、だったようです。実際に飛ばしてみないと正確性もスピードも飛距離もわかりません。
検証し、改善してまた新しい銃を作る、一日工作をして終わることもあったのですが、これも「試したがり屋の特性」だったり、「やり出したらとことんやらないと気が済まない」といった特性ゆえの行動であることがわかりました。
安全に飛ばせる場所を提供し、人の代わりになるような的を作るように提案し、一緒に検証するようにすれば、人に向けて闇雲に発射するということは無くなりました。
ギフテッドの育てにくさ
WISCの結果、息子はASDの傾向がある、と言われましたが、発達障害の診断はありませんでした。発達障害が理由で育てにくいというよりは、さまざまな要素が複雑に作用して育てにくさを感じていることがわかりました。
大体みんな同じような感じです。知的に高くても社会性が低かったり、ADHDのような症状があったり、攻撃的だったりそんな子ばっかり診てますよ。
のちに医師に言われたこととしては、ギフテッド児は脳の発達がアンバランス故、そういう傾向がある子が多い、ということのようです。ただしギフテッドだからみんながそうかというとそうではないようで、育てにくさを感じていない親もいるとのこと。
当然ギフテッドでもこのような2Eの要素を持っていない人もいるけれど、そういう子たちはここ(病院)には来ないね。
脳のアンバランスさに加えて、ギフテッドには共通してみられる特性がいくつかあります。
一つは、過興奮性(OE)という特性で、感情の振り幅が大きいというのも特性の一つです。この特性がわかってからは、なぜそこまで怒るのか、悔しいのか、喜ぶのか、なども理解できるようになりました。
もう一つ、ギフテッドには非同期発達という特性があります。
「非同期発達」とは得意な能力をどんどん発達させ、他の能力との差ができてしまい、発達が同期していないように見えるというギフテッドの特性の一つです。
1人の中に5歳から17歳くらいの幅があると考えるとわかりやすいかもしれません。
この特性が、側から見ると「理解できない行動」や「不可解な行動」に繋がっていたのだと思います。
これらの特性も理解すれば、一つ一つの息子の「理解できない行動」も少しずつ理解ができるようになってきて、こちらの価値観を押し付けるようなことはなくなりました。
とはいえ、全てを享受するわけではありません。やっぱりそれは違うよね?ということも出てくるので、話を聞きながら、こうした方がいいよ、といずれ社会に出たときに本人が困らないように諭していきました。
考え方次第
WISC(知能検査)をする前は、ちょっとしたことでも、感情的になり、力任せにお互い取っ組み合いをしたり…とても激しい日々でした。
我が家の場合はとにかく口がすごかったです。3年生の頃から「〇ね」「きえろ」といった暴言もですが、独特な表現で私を罵倒してくるので、イライラしつつも「へえこういう言い回しをするのか」とどこか冷静な自分もいました。
後々、本人に聞くと、「言い合いするのが楽しい」とのこと。言葉の猛スピードキャッチボールを楽しんでいることも知りました。怒りをぶつけているというのももちろんありますが、単純に怒りをぶつけたいから捲し立てて口撃しているわけではないのです。
なので口下手な父よりも、母の方が口論するなら「面白い」というような表現をしていました。
これもWISCの検査結果より、言語領域が高いゆえ、口が達者であることもわかりました。
子供の成長に育てにくさや不安を感じたら
もし、お子さんの成長や育児に不安を感じたら、WISC(知能検査)を受けることをおすすめします。
知能検査と聞くと「発達障害を調べるための検査」だと思われるかもしれませんが、知能検査の本来の目的は発達障害の診断だけではなく、支援の手がかりを得ることを目的に世界で利用されている検査です。
育てにくいからといって必ずしも発達障害とは限りません。仮に発達障害だとしても、それが悪いというわけではありません。検査をして特性を知ることで親もそうですが、周りの理解者を増やすことが大切です。
長時間かかる検査ではありますが、一度相談してみることをお勧めします。
まとめ
以上、ギフテッド児は育てにくいのか我が家の例を挙げてみましたがいかがでしょう。
確かに、「育てにくい」と感じていたのは事実ですが、ギフテッド児は世の中を違う視点で見ています。
自分の思い通りになんてなるわけがない。
行動の裏にはワケがある。こうするには何かワケがあるはずだ。
今これを言ったら息子はこう思うだろう。
というように、私自身が息子の気持ちや考えを理解しようとするだけでだいぶ楽になりました。枠にはめようとするのではなく、尊重をするようにしました。
このように育児の考え方を変えることで気持ち的に楽にはなりましたが、育児が楽になったかというと別問題。小学生の間はとにかく大変でした。
我が家には男の子と女の子がいます。同じ親(私)が育てていますが、性格も気質も体格も真逆と言っていいほど異なります。
実際、自分は女なので、女の子の方が「気持ちがわかる」ことが多かったり、「あーそうだったな」と自分に重ね合わせて理解できることも多く、それが自然と育てやすさに繋がっているのも事実。
その後、10歳でまた「育てにくさ」の壁にぶつかります。今度は別の理由での育てにくさについてです。☟
ギフテッド児を育てていて「育てにくい」と思っている方の参考になれば幸いです。