- ギフテッド児が学校に行きたくないと言ったら?
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行きたくない理由を本人から聞いてみます。きっと理由があるはずです。我が家は学校に居場所がないことが原因でした。先生に配慮をお願いしても解決しなかったので、今通っている学校以外の選択肢を考えることにしました。
進級進学のタイミングで学校をどうするかはもしかしたらギフテッドやギフテッド2Eのお子さんをお持ちのご両親は一度は悩まれたことがあるのではないでしょうか。
合わない細かい理由はそれぞれ違うにせよ、「学校という環境が合わないから行きたくない」というケースも多いのがギフテッド。結果的に「不登校」や「五月雨登校」になるケースもとても多いようです。
我が家の場合も、3年生の頃「学校に行きたくない、この学校では学ぶことはないのでもう辞める」と泣きながら訴えてきました。そんな我が家の例を挙げながら、そんな時、親としてどうしたらいいかいくつかの案をご紹介します。
そして、なぜ勉強やスポーツなどずば抜けて才能があるギフテッドとよばれる子たちが学校嫌いになるのか、原因についても考えていきます。
まだギフテッド、ギフテッド2E教育が浸透していない日本でどんな選択肢があるかあくまでも個人的に調べた内容ですが、同じようなお子様をお持ちで学校選びを迷っている、もしくはどんな選択肢があるか知りたいという方の参考になれば幸いです。
みんなギフテッド児は学校が嫌いなのか?
ギフテッドやギフテッド2E児は「学校が合わない」とか「学校嫌い」といったことがよく言われることがあります。これは本当なのか?というと本当でもあり、嘘でもあると思います。
ギフテッドは一般的に内向的な性格が多いとされています。一人が心地よかったり、静かな空間が落ち着くような内向的なタイプにとって、学校のような場所は苦痛になるでしょう。
しかし、ギフテッド児のみんながみんな内向的というわけではありません。
外交的なタイプや、リーダーシップのあるタイプなどもいます。
息子は外交的、社交的なタイプなので元々は幼稚園や学校という場は大好きでした。
そんな外交的なタイプの子も、周りからの理解が得られなかったり、環境が合わない場合、「学校嫌い」になることがあります。このタイプに関しては、逆に環境次第では、学校嫌いにはならないということです。
また、いくつかのギフテッドの共通特性が、学校が嫌いになる原因になることがあります。では一つづつ見ていきましょう。
ギフテッド児が学校嫌いになる理由と原因
①浮きこぼれ
まず、よく言われるのがギフテッド児は知能が高く、習得が早いという特性があり、学校の勉強が簡単すぎる、といったことです。進度をみんなと合わせないといけなかったり、1回やればわかることを繰り返し学習しなければならないことに苦痛を感じてしまうことがあります。
②周りに理解されない
言語の発達が早い傾向があったり、知識量も同世代と比べると豊富なこともあり、同世代の子とは「話が合わない」といった困り感があることがあります。なかなか友達に受け入れられないといった悩みを持つことがあります。
③考え方が独特
ギフテッド児は独特な考え方やこだわりをもっていることがあります。
自分にとって無意味だと感じることをするのを嫌がったり、独自のやり方がある場合があります。
一般的な「ルールは守るべきなので守りましょう」といったことは納得しません。そういった行動を、自分勝手とみなされてしまうこともあります。
④ギフテッドの特性である「過度激動」
ギフテッド児は環境からの刺激に対する感受性が高く、人より感情の振れ幅が大きいと言われています。
普通そこまで怒らないよね?ということをものすごい剣幕で怒ったり、そうかと思えばちょっとしたうれしいことがあると飛び跳ねて全力で喜ぶ。といった行動をとることがあります。
周りからすると、年齢不相応とみられてしまいます。
過度激動についてはこちら☟
⑤感覚過敏のため教室が苦手
これも過度激動の一種なのですが、感覚過敏や感覚探求といった特性がある場合が多いです。教室のようなざわざわした空間が苦手だったり、まぶしすぎる教室、給食の匂いなどに不快感を感じる子もいます。
もしかしたら環境を変えたほうが良いかも?
- 学校がつまらないという
- 勉強が簡単すぎる
- 先生からよく怒られて自己肯定感が下がっている
- 学校に支援が期待できない
- 学校に本人の居場所がなさそう
- 前は学校の話をしていたのにあまり学校の話をしなくなった
- 他にやりたいこと、夢中になっていることが明確にある
- 学校に行きたくないという
- 二次障害などの身体的不調が出てきている
- 家庭内で様子が変わった
息子の場合は、いつも先生に怒られており、自己肯定感が著しく下がってしまいました。
二次障害の症状も見られていたことも環境を変えてみよう、学校を変えてみようと思ったきっかけでした。
どんな選択肢があるか
学校の通級指導教室をお願いする
これは出来るか否か学校によるところが多いかと思います。
公立の小学校であれば通級指導教室があることがまず前提なのですが、そこで学習面もしくは情緒面でその子に合った計画を立ててもらう、という方法です。
ただ、年度ごと、学期ごとの申請だったりいつでも誰でも入れるわけではありません。通っている学校で入室するには審査があり発達診断書を提出したりする必要があるようでした。
実際に本帰国後に新しい学校に転入した際に、我が家は勉強面というよりは情緒面での支援(TPOに合わせた話し方や自分の気持ちの伝え方などのソーシャルスキルトレーニング)を通級指導教室で受けられないかと担任の先生に相談しました。
すると次回の審査で見てもらえることになったのですが、現状多くの人が希望しており、知能が高い子は入室が難しいケースが多いと言われました。
審査の結果、今のところ学校では特に問題もなくやっていけているので「今回は対象外」と言われます。
この辺が日本の教育のもどかしいところで、希望は通りません。
また、高学年にもなると本人が通級支援教室に行くことに前向きでなければ効果的ではないとのことでした。
週に何回かクラスを抜ける必要があり、息子の場合はクラスメイトからの目も気にしていたのでその場合はお勧めしないとのことでした。
ホームスクーリング(ホームスクール)
これはその名の通り、「学校に行かない、もしくはたまに学校に通って、家庭で学習するやり方」です。アメリカやイギリスでは法的に認められている学習方法です。
では日本は義務教育なのにいいの?それって不登校ではないの?と色々疑問があるかもしれません。
確かに日本は義務教育を学校以外で行うことは認められていません。しかし令和元年10月に出された文科省の通知によると、校長先生の許可は必要ですが自宅学習が出席と認められることになりました。
「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日 元文科初第698号
1 趣旨
不登校児童生徒の中には,学校外の施設において相談・指導を受け,社会的な自立に向け懸命の努力を続けている者もおり,このような児童生徒の努力を学校として評価し支援するため,我が国の義務教育制度を前提としつつ,一定の要件を満たす場合に,これらの施設において相談・指導を受けた日数を指導要録上出席扱いとすることができることとする。
出典:文科省https://www.mext.go.jp/content/1422155_001.pdf
「不登校」というのはもはや今の時代ネガティブな言葉ではないと思っています。
自分のペースでどんどん勉強を進めたい子や、家で自分の興味のある分野ややりたいことに没頭したい子がホームスクーリングを選択し、このような積極的な学習意欲のある子が結果的に不登校になっているというのも、「不登校」だからです。
特に数年前からコロナウィルス感染症の流行もあり、感染予防や子供の不安を軽減するためにあえてホームスクーリングにする家庭も増えました。
一昔前では後ろめたさもあったかもしれませんが、むしろ今は堂々とホームスクーリングは選択できるのではないかと思います。
「一日の時間が足りない!」という息子にじゃあ一日学校休んで好きな事をしたら?と提案したこともありますが、それは給食が食べられなくなるのと、周りの目が気になるから嫌だ、とのことでした。
また、我が家の場合は時間の管理が苦手であることと、家にいるとどうしても色々目に入った物に気が散って集中できないので、息子の場合はホームスクーリングは向いていませんでした。
ホームスクーリングの方法としては、親が教育を見る方法もありますが、NPO法人ホームスクール支援協会や民間のサービスなど第三者のをサポートを利用してみるのもよいかと思います。また、ホームスクーラーマップというものがあるようで、それに登録しホームスクーラーで繋がったりもできるようです。
他には、家で学ぶ方法としては、「すらら」も家庭学習で出席扱い認定となります。「すらら」を使った「出席扱い認定」は前年より4.4倍に増えたそうです。
「すらら」は、ゲーム感覚で学習できる対話型アニメーション教材です。
すごいところは、「独自のつまずき診断システム」の特許を取得しており、間違えた問題に対し、各生徒が苦手なポイントを分析して重点的に復習させる革新的なシステムで特許を取得しています。
すららの出席扱いについて詳しく知りたい方はこちらからご覧いただけます。☟
その他、「ティントル」というサービスもあります。
不登校の児童生徒に対して、「勉強を教える」個別指導だけでは不十分ですが、「ティントル」では、児童生徒・親御さん両方へ向けたサポートを行っていきます。
スタッフも「教育心理カウンセラー」「不登校心理相談士」の資格を持ち、専門的な知識を備えています。
根本から不登校に対して向き合ってくれるのは心強いですね。
その他、ご存じのものもあるかと思いますが、今は様々な通信教育があります。
教科書に合った内容を学びたい場合は「進研ゼミ小学講座」
教科書準拠の内容+無学年学習ができるものは、「スマイルゼミ」
や、通信教育ならデキタス
があります。
算数に特化したい場合は、「RISU算数」
など、目的に合わせて教材を選ぶと良いと思います。
フリースクール
フリースクールとは一般的に不登校の子供に対し、学習活動や教育相談などの活動を行っている民間の施設のことを言います。
規模や活動内容は多種多様であり、民間で運営されています。平成27年度に文科省が実施した調査によると全国で474の団体・施設があったようです。
こちらも検索するとたくさん出てくるのですが、フリースクールは自分の好きな事、興味のあることに特化したスクールを選べるのが特徴。
プログラミングやアートなどの芸術系、自然観察や農業体験などの自然体験系、スポーツ活動系、調理体験などが行われているようなスクールもあり、同じ趣味を持つ仲間ができるというのはギフテッド児にとっては貴重です。
自分のペースで通えるところが多いのもフリースクールの良さかもしれません。
なかなか近所に通えるフリースクールがない、というケースもあるかと思います。
その場合、場所を選ばず通えるネットスクール、オンラインフリースクールも増えてきました。
【SOZOWスクール】
というオンラインのフリースクールも最近できました。
我が家はフリースクールができる前にSOZOWの「オンライン習い事」を受講していました。オンラインといっても、一方的に講座を聞くスタイルではなく双方でやり取りをしながら進めていくスタイルだったので、積極的に参加していました。
この新しくできた【SOZOWスクール】
は、学校での5教科学習だけではなく、子どもの好きと好奇心を尊重し自らの意思をベースに可能性を最大限広げていくというモットーの元、様々な学びを提供しています。
参加頻度も自由なので、お子さんそれぞれのペースに合わせて参加可能です。
小学4年生から中学生までを対象としており、マインクラフトや動画編集、プログラミングなどのさまざまな「好き」をベースに自己肯定感を高めていきます。
ちなみに学校に戻すことや5教科に取り組むことを目的としていないそうですが、小中学校の出席認定にも対応可能とのこと。
4月入学のみではなく、毎月月初に入学が可能なのもありがたいですね。無料体験や説明会も行っているようなので興味がある方は体験をしてみても良いと思います。詳しくは☟
インターナショナルスクール
日本にもインターナショナルスクールは多くあり、以前は訪日外国人や芸能人の子供が行くところのように私自身思っていましたが、最近は一つの選択肢として選ぶ方も増えてきました。実際に私の友人のお子さんも何人か通っている子がいます。
帰国子女だったり、幼稚園がインターだったからそのままの流れで通っていたりと理由は様々ですが、インターナショナルスクールも選択肢として考えてみるのもよいのかなと思います。
ギフテッドのタイプにもよりますが、語学に興味があるタイプの子であれば、日常会話くらいならすぐできるようになるかもしれません。インターナショナルスクールの良さを「ギフテッド児にとっての良さ」で考えると、何といっても個々の多様性を認めてくれるところだと思います。
やはり海外のほうがギフテッド教育が浸透していることもあり、息子が通っていたインターナショナルスクールの先生方も知識が豊富でした。息子が実際にインターナショナルスクールに通ってみて感じたメリットとデメリットはこちらに記しています。
一点注意しなければならない点としては、日本の場合、インターナショナルスクールにも種類があり、多くは学校教育法第134条に規定する「各種学校」として認められている学校となります。
教育法第1条に規定する学校(以下「一条校」という)として認められたものでないと、義務教育課程を修了したことにならず、中学進学の時に困る可能性が出てきます。一条校に通う生徒と、それ以外のインターナショナルスクールに通う生徒とでは中学受験や進学の時の選択肢が随分異なってきてしまうのです。
現在国内のインターナショナルスクールで一条校となっているスクールは数校しかありませんので、選択時に知っておいたほうが良いかと思います。
ただし、私立中学校を受験する場合、国内インター生も帰国枠入試の資格を与えている私立中学校がいくつかあるのでそういった学校を受験するといった方法はあります。
ボーディングスクール
ボーディングスクールというのはその名の通り「全寮制の学校」です。イギリスをはじめ、世界一学費が高いと言われているスイス、アメリカ、カナダ、アジア各国など世界中にあり、だいたい学費が高いことから富裕層に人気があるようです。
日本初のボーディングスクールは、1960年に開校した函館ラ・サール中学・高等学校だそうですが、ここ数年、海外方式のボーディングスクールが日本に立て続けに開校しています。だいたい中学校や高校からというボーディングスクールが多い中、2020年に日本初の一条校の小学校のボーディングスクールが広島県に開校されました。
小さいころから寮生活を送るなんて、と思われる親御さんもいらっしゃるかもしれませんが、息子は四年生くらいから「さっさと家出て一人暮らししたい」というのが口癖でした。これもまたお子様のタイプにもよるかもしれませんが、特に息子の場合は、自立したいという気持ちだけは非常に強いので(実際身の回りの片付けなど基本的なことは全くできませんが)寮生活も悪くないなと思っています。
ただこちらの選択肢の最大の難点はコストです。どのボーディングスクールも高額になってしまいます。
新しい形態の学校、オンラインの学校
これは先ほどのフリースクールとも重複しますが、最近よく耳にする学校としてはN高、N中といったオンラインで受けられる学校です。N中等部は学校教育法第一条に定められた中学校いわゆる一条校ではないので、学区の公立の中学校なりに在籍したままN中等部で学ぶということになります。
N中には、全国にあるいずれかの学校に通う通学コースとオンラインで学ぶネットコースがあります。通学コースと言っても、通う日数を週一、週三、週五の中から選ぶことができるようです。
また、2024年4月より、松戸(千葉県)、蒲田(東京都)、西大寺(奈良県)、橋本(神奈川県)にも開設予定で、通学ができるキャンパスは全国17カ所となります。これから生徒数が増えればまた全国に増えていく可能性があるのかなと思います。
まとめ
以上、ギフテッド児が学校嫌いになる原因と、もし今の学校に行きたくないといった場合の選択肢を書いてきました。
日本もようやく議論され始めましたが、専門医曰く「日本の今の教育ではギフテッド教育はなかなか難しい」とのこと。現状は海外に比べるととても遅れています。
実際息子を育てていて感じたことは、本人は「学びたい、知らないことを知りたい」という欲求がとても強いため、学びがない環境で多くの時間を過ごすこと自体が無意味だと感じてしまうようでした。
本人にとって有意義な時間が過ごせて学びのある環境であれば、それは自宅であってもインターナショナルスクールであっても、フリースクールでも、そして学校でも良いのです。
親としてできることは、本人が何をしたいか、その場に何が足りなくて、何を求めているのかを聞き取り、その子にとって最適な学びの環境を探すことではないでしょうか。ギフテッドといってもタイプはその子によって様々です。個別最適な学びの場が見つけられるといいなと思います。
今は昔より断然、選択肢が増えてきたと思います。我が子のためにより良い環境を、と思うのはどの親も同じだと思います。我が家も学校をどうするか悩んでいた時、やってみないと結果どうなるかはわからないのに、あれこれ考えてしまいなかなか結論を出すまで時間がかかりました。
我が子が決めたことであれば、どんな選択であれ背中を押してあげられるような親でありたいと思っています。