「秀才」「天才」「異才」「奇才」「ギフテッド」
これらの言葉は、どれも優れた才能を持ち合わせた人を表現するときに使います。
以前ギフテッドと「MENSA(メンサ)」の違いについての記事でも少し触れましたが、今回は「秀才」「天才」「異才」「鬼才」「ギフテッド」これらの違いについてです。
「秀才」とは
1 非常にすぐれた学問的才能。またその持ち主。2 中国で、科挙の試験科目の一。のち、科挙に応じる者および合格者を指すようになった。また、明・清時代には府・州・県学の在学生を称した。
3 律令制の官吏登用試験科目の一。またその試験に合格した者。
引用元 デジタル大辞泉
現在は学問的才能がある人のことを表しますが、元々は中国の「科挙」の試験科目の一つでした。当時、「秀才」はその試験に応じる者や、合格した者を指していたようです。
日本でも律令制下に式部省が行なっていた官吏登用試験があり、「秀才試」は最高の官吏登用試験だったようです。
これが転じて、学問的才能がある人のことを日本でも「秀才」というようになりました。
秀才は一生懸命勉学に励み、学校でも良い成績を収める人たちのことをいいます。いわゆる「優等生」タイプです。
「天才」とは
では天才はというと
生まれつき備わっている、並み外れてすぐれた才能。また、そういう才能をもった人
引用元 デジタル大辞泉
「生まれつき」という点と、学問に限らない点が「秀才」と異なります。
「秀才」も「天才」もどちらも才能を持ち合わせていることに変わりはありませんが、二つの違いは後天的か先天的かという点です。
つまり、努力をして勉強をして秀才になることはできても、努力をして天才になるとは言いません。
しかし、天才は努力をしないという意味ではありません。また、努力なしで何でも成し遂げられる人のことを意味するわけでもありません。
この偉人2人の名言をご存知でしょうか。
「天才とは努力する凡人である」
こちらはアインシュタインの言葉です。アインシュタインは自分のことを「私は天才ではありません。ただ人より長く一つの事柄と付き合ってきただけです。」といっており、簡単に発見をしたわけではなく、根気強く努力を重ねてきたからこそ今があると言っています。
「天才とは、1%のひらめきと99%の努力である。」
これはエジソンの言葉です。努力をするのはいうまでもなく、努力と僅かなひらめきが必要だということを意味しています。努力が大切だというようにもとれますが、エジソン自身が「1%のひらめきがなければ、99%の努力は無駄になるということだ」と発言しています。
これらの名言からもわかるように、天才と呼ばれている人たちも人並みならぬ努力をしていたことがわかります。
そしてこの「天才」と言われている2人はIQも高く「ギフテッド」だったのではないかと言われています。
ギフテッドも「生まれつき」というような言い方をするため「秀才」よりは「天才」の方が近い気がしますが、ギフテッドは単なる天才(万能な天才)ではないことはこちらのサイトでお伝えしてきた通りです。
ギフテッドのことを便宜上ざっくり「天才」と称することはあるかもしれませんが、細かいことをいうと別物だと思います。
ギフテッドはこちらのサイトでもご紹介している通り、定義であったり、共通特性がありますが、天才に関しては、明確な定義がなく、一つもしくは複数の分野において並外れた才能がある人を天才と表現することが多いです。
「天才」にまつわる本も読んでみました。こちらの書籍には、天才と呼ばれている偉人たちが100人以上登場します。それらの天才たちは芸術、科学、学問、テクノロジーなど様々な分野で世の中に影響を与えた人たちです。
本の中で筆者は天才の定義をこうしています。
天才とは、精神力が並外れていて、その人独自の業績や見解が、文化や時代を超えて、良くも悪くも社会を大きく変革する人を指す。
ー中略ー
天才とは創造力であり、創造力には変革が含まれるからだ。
引用元 イェール大学人気講義 天才 ~その「隠れた習慣」を解き明かす
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0から何かを生み出すクリエイティブさであったり創造力こそが天才と筆者は言っています。ギフテッドについては社会への変革や影響といった点についてはあまり議論されていないので、そこは違いだと思いました。
読んだ感想としては、あくまでも私の考えですが、ギフテッド=天才ではないけれど、ギフテッドには天才の人も一部含んでいるという感じでしょうか。
現代を生きている方でいうと、オードリータンさんもギフテッドであり天才の1人だと思います。
異才・奇才とは
似た言葉に「異才」や「奇才」と言った言葉があります。
異才とは
人並みではないすぐれた才能。また、その持ち主。
引用元 デジタル大辞泉
奇才とは
世にまれな、優れた才能。また、その持ち主。
引用元 デジタル大辞泉
これらも類義語として使われますがそれぞれ少しずつニュアンスが異なります。
「特異な才能」とは
また、少し脱線しますが、文部科学省で議論が始まった、「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議」で使われている「特異な才能」は「異才」とは異なる意味合いで使われています。
ここでの「特異な才能」とは、広い意味での才能を意味しており領域・特性・程度が限定されないとしており、一義的に特定の基準・数値(IQ130以上など)で定義はしません。
教育行政の用語として、新しい理念の取組を象徴するキーワードだと捉えられるとしています。
参照 特異な才能のある児童生徒に対する指導・支援Ⅰ「特異な才能」の理解と捉え方
ギフテッドと秀才は違うのか
ギフテッドと天才についてみてきましたが、続いてはギフテッドと秀才についてです。
育てていて筆者の考えとしては、秀才とギフテッドは別物という認識です。
優秀な子供(秀才) | ギフテッド |
---|---|
答えを知っている | 質問する |
反復6-8回で修得する | 反復1-2回で修得する |
質問に答える | 詳細を討論、更に話を展開できる、また質問に疑問をもつ |
成績はトップグループ | 一般の枠を超えた能力、学校成績はむしろ悪い場合もある |
アイディアを理解できる | 抽象化思考ができる |
興味を示す | 非常に好奇心が強い |
一生懸命に努力する | 遊びながら、集中力に欠けたり、でも良い成績をとる |
同学年の生徒といるのを好む | 大人や年上の生徒といるのを好む |
よい暗記力 | よい推測力 |
よいアイディア | 常識外れたアイディア(とっぴな、ばかげたアイディアに見える) |
簡単に学ぶ | 答えを知ってるため、退屈に感じる |
学校が好き | 学ぶことが好き(でも学校は好きではない) |
受容的 | 真剣、情熱的 |
自己満足する(正解した時) | 厳しい自己評価(完璧主義) |
精巧に真似ができる | 新しいデザインを創造する |
興味を持って聞く | 強い情感と意見を表す |
単純で順序立てたやり方を好む | ゴールを明確に設定し、逆算をする。複雑さを求めているような誤解を受ける |
注意深い | 心身ともに熱中、没頭する |
秀才と言われる人は、学校生活において良い成績を修め、先生からも褒められるタイプです。
一方ギフテッドは、必ずしも成績が良いとは限らず、先生に質問をしたり疑問に思ったことは相手が先生だろうが討論します。
上記の表に沿って、一部息子のエピソードを挙げると、反復学習はしません。いかに少ない回数で効率よく覚えるかに注力をし、覚えるという目的に対して反復学習は効果的ではないと思っているそう。
「遊びながら、集中力に欠けたり、でも良い成績をとる」という項目に関してですが、試験期間中もゲーム時間は必ず毎日確保しますが、成績が悪い自分は嫌なのでゲームをした後に勉強を最低限し、良い成績をとります。
学校では同世代の友人とも仲良くしますが、(とても言い方が悪いのですが)小学生の頃は「会話のレベルが合わない」と感じていたそう。これは本人が言っていたので言葉を補足すると、「自分の考えより幼い」とか「発想力が物足りない」という意味だと思います。そのため、自分より発想が面白いと思える友人と付き合うようにしているとのこと。
中学校に入ると自らを高められる環境に身を置くことで、そのようなことは言わなくなりました。年上だったり、知識量が自分より上の部活の先輩なども尊敬しているようです。
また、「学校は学ぶところ」ということは小学生の頃から言っていました。私自身そんなことは考えず毎日行くものだと思って通っていた凡人なのですが、学校は勉強をするところなので、学びがあるのであれば友達がいなくても、学校が汚くても、他に不満があったとしてもどうでもいい、とのこと。
逆に、学びがない場合、気の合う友人もいなくて、先生にも理解されない学校という場所に価値を見出すことができず、不適切な行動や二次障害を起こしてしまいます。
またゴール設定をしてから逆算をする方法は、行動パターンの基本です。計画的に物事を進めることは苦手ですが、ゴールは明確なので、それを達成するためには短期間集中型で努力をします。私の感覚からいくと、絶対間に合わないよね、と思うことも最終的には「帳尻をあわせる」というようなイメージです。
ただ、今までは少し努力をすれば達成できていたことが多かったのですが、年齢を重ねていくうちにやはり全てがうまくいくわけではありません。達成できなかったこともあります。
そんな、達成できなかった場合は猛烈に自身を批判し分析します。親として見ていて思うのは、達成できた時よりもできなかった時の方が真剣に自己と向き合い、次はこうありたいという情熱的な何かをいつも感じます。
まとめ
以上、「秀才」「天才」「異才」「奇才」「ギフテッド」について見てきました。似ているような言葉ですが、少しずつ意味合いが異なるのがお分かりいただけたでしょうか。
共通点としては、秀才も天才もギフテッドも、何かを成し遂げるには努力なくしてはあり得ないということです。