8歳頃はできることとできないことの差が顕著かもしれません。
あんなことはできるのに、こんなこともできないの?というようなことは日常茶飯事。
大きな「非同期発達」が見られたのもこの頃でした。
3年生の頃は海外生活も二年目になり慣れてきた反面、学校でも家でも叱られてばかりで、日々どこにもぶつけられないストレスを抱えて過ごしていたように思います。友達と遊ぶのが大好きなのにもかかわらず帰宅後も遊ぶ友達もおらず、ストレスの発散の仕方がわからなくなっていました。また、常にエネルギーが有り余っており、時間と体力を持て余しているような感じでした。この頃、初めて学校に配慮をお願いしましたが、すでに学校には居場所がなくなっていました。
今回は学校が合わず、環境調整をした3年生の頃のはなしです。
学校嫌いに
小学3年生の頃は本人も何をやってもうまくいかないと葛藤があったようで、家では言うことを素直に聞かなくなり、わーわー文句を言って荒れるようになりました。
学校、友達が好きな外交的なタイプだった息子が学校嫌いになったのは3年生の頃でした。
学校をどうするか、帰任を待たずして本帰国をするかなど、家族で今後の方向性を話し合った時期でした。
学校に行きたくない理由
3年生の中盤に、息子が泣きながら学校に行きたくないと言い出します。
理由は「日々の小さなことの積み重ね」という感じで一つ何か決め手の理由があるわけではありませんでしたが、話をよく聞いてみると我慢していたものが一気に溢れ出しました。
みんなの前で怒鳴られ、教室から出ていってくださいと先生に言われる。
毎日同じことの繰り返しがつまらない。
漢字ドリルや計算ドリルの宿題にもうんざり。
そして泣きながら
学校でも家でも叱られてばかりでもう嫌だ!
この学校で学ぶことはもうないから学校を辞めたい。
インターナショナルスクールに行きたい。
学校が大好きだった子がここまで嫌がるのは、幼稚園年中の時以来です。
理由なしに嫌がることはないというのはわかっていました。ここに行きつくまで彼なりに耐えたこともわかっていたので、すぐに学校を探し始め、いくつか通えそうなインターナショナルスクールを見学に行きました。
今まで英語経験は3年生から始まった学校での外国語の授業のみで、一度も習ったことがありませんでした。全く喋れない状況でもインターに行くとのことでよほど今の環境を変えたいということがわかりました。
だれもわかってくれない
当時先生をはじめクラスメイトにも理解者がいない状況でした。なにかクラスで揉め事が起きると、「毎回〇〇さんが悪いので今回も〇〇さんがどうせ悪いと思います」というような言われ方をしたとのこと。
だれも言い分を聞いてくれないしいつも悪者にされてしまうのが納得いかないと言っていました。
例えば、息子が暴言を吐いてしまったとします。暴言を吐くに至る前に何かあって暴言を吐いてしまったにしても、そうした理由や気持ちを聞くことなく、「暴言を吐いた」というところだけに焦点を当てて怒られるのが納得いかないというような内容でした。
こういったことが積み重なり、クラスの中では「ダメな人」という烙印を押されてしまいました。
ギフテッド児は、同世代の子と会話が合わなかったり、「非同期発達」という特性があるため、語彙力は長けているにもかかわらず行動が幼かったりと周りも困惑してしまう行動をとることがあります。
この頃、息子自身もまだ自分自身の特性については理解もしていませんでしたし、周囲の理解も得られずとてももがき苦しんだ時期でした。
授業が暇すぎてどんどん進めたくなる
だいたい低学年は漢字一つ習うにしても、「なぞりがきをみんな同時に一斉に書きはじめ、マスに丁寧にゆっくり書いていく」というスタイルです。
それが耐えきれず、一人で何文字も進めていたところ先生に注意されます。
それでもやめない息子に対し、先生は横から漢字ドリルを取り上げます。
その結果先生が急に取り上げたので、漢字ドリルが真っ二つに破れてしまうことがありました。
本人は宿題も減るしいいだろうという思いでやっていたそうですが、「勝手な事」はしてはいけないので、取り上げられてしまったようです。
当時はギフテッド児にみられる「アンダーアチーバー」にはなりませんでしたが、こういった退屈な授業ももううんざりとのことでした。
自分にとって意味のないことをする意味がわからない
今もそうですが、「効率」とか「損得」を考えて頭の中で仕分けしてから行動しています。
3年生の担任も「ノートはきれいな字で書くこと」という先生でしたが、先生はすでに「敵」という存在になっていたため、先生の言う事にも反抗的になっていました。
そのため、息子は漢字さえ覚えればいいんでしょ。という考えに基づき、きれいに字を書くという指示は無視し、殴り書きのように書いていました。すると付箋だらけのノートが返却され、せっかくやったのに評価が貰えずやる気を損ね、もうやらない。と悪循環に陥っていました。
「ギフテッド」と一言に言っても、タイプがあります。単純に「英才型」か「2E型」かではありません。
最近私自身も知ったのですが、ギフテッド児は、行動特性によって分けられた6つのタイプがあるそうです。そのタイプによって必要な支援が異なるとのこと。
もし、学校や家庭で問題行動や行き渋りが見られるお子さんがいらっしゃいましたら、是非支援の参考にしてほしいです。二次障害になる前に、適切な支援が必要なのがギフテッドです。
個人面談
個人面談で先生から言われたことは、
協調性がなく自分のことしか考えていません。
授業中も、しゃべってしまい〇〇さんの発言がみんなが気になってしまって授業が止まります。
人をからかうこともよくあります。
とても頭の回転が速いのはわかるのですが…。
というような内容でした。
学年の初めに、配慮をお願いしたい旨を伝えたにもかかわらず、学年の途中の面談でこのように先生に言われたことで、もうこれ以上期待しても仕方ない、学校の対応には限界があるなと思い、息子の言うように環境を変えようと思いました。
独り言、意味不明語を発する
この頃にはもう体調面に症状が出ていました。息子は家では毎日意味をなさない言葉を発したり、独り言を言うようになっていました。
耳障りなのでやめてといってもやめず、やめてというと余計言うようになったり、こちらも我慢の限界がきてイライラして怒鳴る…といった日々でした。
暇だったりやることがないと、独り言が止まらなくなるので一緒の空間にいられないような時期もありました。そんな日は各自バラバラに部屋にこもって過ごしていました。
この頃私はとにかくやめてほしくて、インターネットの検索窓に「独り言 止まらない」などひたすら調べていました。何か発達障害の二次障害なのではないかとあれこれ調べましたが、明確な答えは見つかりませんでした。
感情の起伏が激しくなる
また、ギフテッドの特性として、OE(過度激動)というのがあります。中でも息子は感情性OEが顕著で、感情の幅がとても大きく「ドラマチック」な反応を示す傾向があります。
この特性は、より楽しみ、より悲しみ、より腹立ち、より驚き、より恐れ、より共感するため大げさだと批判されることも多い特性です。このOE(過度激動)が色々な面で頻繁にでるようになってきました。
さっきまで笑っていたと思ったら、ちょっと気に入らないとものすごい剣幕で怒り…家族は振り回されっぱなしでとても疲弊していました。
心の友ができる
本来、友達付き合いは好きなタイプなのですが、駐在先ではなかなかしっくりくる友達ができなかったようです。そんなとき、3年生の二学期に近所に同じ学年の子が引っ越してきました。その子はいつも話をきいてくれるような穏やかな子で、帰国の日まで息子にとってかけがえのない存在になりました。
今の様子を見ていると、当時は友達が欲しかったのに思うように関係が築けず寂しい思いをしていたのかもしれません。母親から見た目線なのですが、息子はだれでもかれでも友達になればいい、という感じではなく、自分を理解してくれる人かどうかを感じ取りながら友達関係を築いていくようです。当時学校で自分が周りに受け入れられていないというのは感じていたのだと思います。
帰国した今、日本の学校に通うようになって5カ月が経ちましたが、周りの友達の理解もあり、息子自身も尊敬できるような友達ができ、昔のように友達の話をたくさんするようになりました。
3年生の頃に比べて、息子自身も特性がわかり成長したというのもありますが、周りも高学年になり多様性を受け入れてくれるようになっており、自分の中で折り合いをつけ楽しく通っています。
ギフテッドの中には内向的な子が多いという分析もありますが、息子はあきらかに外交的、積極的なタイプで、仲間を必要とするタイプです。
学校との関わりについてはこちら
クラシックの練習はつまらない
この頃のピアノに関しても一応記載しておきます。「クラシックピアノ」というものが「つまらないもの」だという認識に変わってきたのがこの頃です。
それまでは、一つ曲をクリアしたら次、というようにステップアップしていくのが普通だと思いレッスンを受けていたのですが、単純なことが嫌いな息子は段々練習をしなくなります。
そして、1年生の時通っていたヤマハのレッスンがどうしても忘れられず、作曲をしてみたいと言い始めました。また、駐在先でもコンクールに出てみたい、何も目標がないからつまらない、と言い始めました。要項を読むにも言語の壁があり、一つ一つのことがスムーズにいかないことが私としてはすごくストレスでした。
このように、息子はどんどん新しいことにチャレンジしていくことを何の苦だとも思わないところがあり、むしろそういった新しいことに向かっていくことがわくわくしたり原動力になるようです。インターナショナルスクールに行くかどうか迷っていた時に「僕は困難を楽しみに変える力があるんだ」と言っていたのが印象的でした。
冬休みの一時帰国にて再度クリニックの先生に相談
家での荒れ具合と学校での素行のこともあり、再度予約をとって発達のクリニックに行きました。
先生曰く、環境を調整するほかないとのこと。インターナショナルスクールに行くと日本の勉強が遅れてしまうという不安がある旨を伝えたところ、
別に数年くらいの遅れはこういうタイプの子は通信教育や後からやればどうにでもなるので、本人が行きたいのであれば一回環境を変えてみるのも一つですよ。
もしダメだったら帰ってくればいいんじゃない?
「そうか、もし合わなかったら帰国すればいいんだ」と、この先生の一言が背中を押してくれました。
しかし、世界中の誰もが予期せぬ事態になります。そうです、この一時帰国の後、駐在先に戻った直後から全世界で新型コロナウィルス感染症が猛威を振るうのです…
8歳頃の特徴のまとめ
・学校への行き渋り、学校嫌いになる
・7歳よりさらに反抗的になる
・理解者がいないことに失望する
・まだ自身も自分のことを理解できておらず葛藤しもがき苦しむ
・身体症状(チック、独り言、多動)などが出てくる
・インターナショナルスクールに移りたいという
・音楽への意欲はある
いよいよ親として次のステップに動かなければならない、でも現状できることには限界がある。このもどかしさが焦りだったり、苛立ちだったり、私自身の育児方法も改めなければと奔走し始めたのもこの時期でした。
今までやってきたことが当たり前ではなくなり、自分の考え方を変えていくのは簡単ではありません。ここから怒涛の数年が始まります…。
ブログでは伝えきれていないことをnoteにて有料記事にて公開しています。今後も当サイトと分けて執筆予定です。