ギフテッドはどのように生まれるのか気になる方も多いかと思います。親がギフテッドだからでしょうか?それとも突然変異なのでしょうか。
私自身、ギフテッドについて学んでいく中で、ギフテッドが誕生する原因はあるのかと疑問に思い調べてみました。
今回は、ギフテッドの遺伝について我が家の例を挙げながらご紹介します。
ギフテッドの語源から
「Gifted」ギフテッドの語源は贈り物という意味の「Gift」であると言われています。
ギフテッドの特性は、生まれつき持っているとされており、天からの贈り物といわれることもあります。
また、早期教育をして「ギフテッドになる」というような言い方はしません。
このように語源から考えても、ギフテッドは先天的のものとする意見が多数です。しかし、元々素質を持っていても、その能力が発揮される環境になければ特性は現れないことを考えると、教育環境や成育環境などにも起因していることになります。
ギフテッドについて詳しく知りたい方はこちら↓
ギフテッドは遺伝なのか?
ではギフテッドは遺伝するのでしょうか?
我が家のケースで言うと、親族にギフテッドと認定を受けた人は息子以外にいません。
また、親族の中には、勉強が得意な人、スポーツが得意な人、両方得意な人…いるにはいますが、ギフテッドだろうなと確信できる人はいません。学歴で言うと東大卒の人もいません。音大卒の人もいません。ここまで言うと、「なんだ。遺伝ではないのか」と思われるかもしれません。
しかし、私たちや親の世代の日本では、今のように「ギフテッド」という定義がなかったので、誰も気づかなかった、ということも考えられます。
冒頭にも述べたように、1970年代初頭のアメリカの研究では、遺伝的な才能と、子供が成長する豊かで適切な環境との相互作用であるとしています。
つまり、ギフテッドの概念がなかった親の世代では、遺伝的な才能を持っていても、才能を伸ばす機会が与えられず、才能を伸ばせなかったということも考えられるのです。
ギフテッドは知能が高いだけではなく、様々な特性があると言われています。そのような「ギフテッドが持っている特性」の部分はいくつか当てはまることがあるのでそういった意味で、遺伝している点は部分的にはあるとは思います。実際、親族にギフテッドがいると子もギフテッドになる確率が高いというような記事を目にすることもあります。
しかし、我が家においては、兄弟はというと、全く異なる性格、特性のため、必ずしも遺伝するわけではないことは明らかです。
知能検査を受けたこともないのであくまでも持論になりますが、ギフテッドに関しては必ずしも親がそうだから子供もみんな遺伝でギフテッドになるというものではないように思います。
知性の遺伝は60%?!
才能は能力か努力かという研究は長年されていますが、能力、性格といった様々な形質は、親から受け継いだ「遺伝要因」と、生活や教育といった「環境要因」の両方の影響で決まるとされています。
遺伝と環境がどのぐらいの比率で影響するのかを表した表はご覧になったことがあるかもしれません。慶応大学文学部名誉教授の安藤寿康さんによると、
「音楽の才能は92%、スポーツの才能は85%、成人期初期の知能指数(IQ)も66%が遺伝の影響と言えます」
とのこと。下の表は、遺伝と環境が与える影響を表したものです。
この結果には驚く反面、納得する面もありました。
身近な例で言うと、ピアノの先生の子供が音大に入りピアノの先生になっているケース、最近では清原和博選手のお子さんが甲子園で活躍したのも記憶に新しいです。
歴史的音楽家であり「音楽の父」と呼ばれるヨハン・セバスティアン・バッハ。バッハ一族は60人もの音楽家を輩出したそうです。
このように、一家で音楽家という家系は多いです。例えば、日本だと作曲家の服部良一さんもそうでしょう。服部家も代々音楽家として活躍されています。また、芸能人だと藤圭子さんの娘、宇多田ヒカルさんなどもそうです。
ではここで疑問なのが息子の音楽的才能です。息子は聴いた曲は楽譜がなくても大体の曲は耳コピで弾くことができます。ピアノの難曲も人より少ない練習量で暗譜して弾けるようにはなります。(技術面は別として。)最近は作曲もさらっと80小節くらいの曲は作ってしまいます。オーケストラの演奏も楽器のパートごとに音を拾うこともできます。そんな息子の身内に音楽家はいませんが、音楽の才能が9割遺伝というのはどういうことなのか。という疑問が出てきます。
やはり両親の遺伝子の組み合わせだったり、環境だったり複雑なものが関係しているのではないかと思うのですが、安藤先生が面白いことを書かれていたので引用させていただきます。
安藤寿康さんの著書生まれが9割の世界をどう生きるか 遺伝と環境による不平等な現実を生き抜く処方箋からの引用ですが、「才能のある人」に見られる3つの条件があるとのこと。
才能のある人の3条件
「特定の領域に対してフィットしていること」
引用元:生まれが9割の世界をどう生きるか 遺伝と環境による不平等な現実を生き抜く処方箋著 安藤寿康
「学習曲線が急上昇のカーブを描くこと」
「学習ができる十分な環境が与えられていること」
1つ目の「特定の領域」とはピアノや将棋やスケートなどすでにある程度社会的に確立されている領域のことです。
特定の領域に適した脳の配線を生まれながらに持っている人は、そこから発せられる情報に脳をチューニングしやすく、初めてその領域に触れた時であっても圧倒的に他の人より高いパフォーマンスを示すことができるというのです。
2つ目ですが、才能があると言われる人は他の人と同じ経験をしても、吸収する知識量が全く違うそうです。
今目の前にあるものよりもっといい状態を予想モデルとして作り上げ、その完成形のイメージを持っていることでその方向にひっぱられるように学習してしまうということなのではないかと書いてあります。
そして3つ目に、当たり前のようですが「そうした学習ができる十分な環境が与えられていること」とあります。
仮にヴァイオリンを弾くのに適した脳の配線を持っていても、生活のなかにヴァイオリンを弾いている人がいなかったり、自由に弾く時間がなかったり、先生の指導力が低すぎたりすると「才能」としては育たないでしょう。とのこと。
また、才能のある人は人生の比較的早い時期に、膨大な時間をそのことに没頭して学習する経験をしており、それができる内的な条件と、環境が揃ったときに、才能が生み出されるのだと思うとされています。
以上のことを息子に関して置き換えると全て当てはまるため、元々持っていた「遺伝的要素」に、「環境的要素」が加わることにより結果的に「才能がある」となったのかなと思います。
ギフテッドの有名人
「ギフテッド・有名人」と検索窓に入れて調べてみると何人かインターネット上に出てきます。日本人で言うとビートたけしさんや岩崎ひろみさんといった名前が出てきます。その情報源は確かなものは少なく、ましてやギフテッドかどうかはIQだけで測れるものではありません。
そのためここでは伝記レベルの人たちの例を挙げて考えてみようと思います。
親族にギフテッドがいたかどうかは定かではないですが、幼少期の親の関わり方には共通して見えるものがありました。
アルベルト・アインシュタイン(理論物理学者)
アイザック・ニュートン(科学者・数学者)
コペルニクス(地動説)
トーマスエジソン(発明家)
パブロ・ピカソ(画家)
ビルゲイツ(マイクロソフト創業者)
モーツァルト(作曲家)
ギフテッドとされている有名人の一人、アルベルト・アインシュタインはIQが160以上あったと言われています。5歳まで言葉を発することなく生活していた一方、様々なことにも興味をもっていたようです。
そんなアインシュタインの母は、音楽家だったようで、幼い息子にヴァイオリンを与えました。また、この時期に父はコンパス(方位磁石)を与えたそうです。
アインシュタインは、脳の発達に大事な時期である臨界期に「音楽」と「コンパス」を与えられ、没頭することで長所を伸ばすことができ、才能が開花したと言えます。
エジソンは、小学校の頃から問題児として扱われており、3か月で退学になった話は有名です。
とにかく好奇心が旺盛で質問ばかりしていて教師や生徒を困らせていたそうです。元小学校の教師であった母は、「家で私が教えます」といい、ホームスクーリングを始めます。エジソンの母の寛大な心と教えが、偉大な発明王のエジソンを誕生させるのです。
エジソンの母は、とにかくエジソンが疑問に思ったことはなんでも実際にやらせてみて、体験をさせたそうです。また、自宅に実験室を作ってあげたり、環境も整えました。
先ほどの安藤教授の「才能のある人は人生の比較的早い時期に、膨大な時間をそのことに没頭して学習する経験をしており、それができる内的な条件と、環境が揃ったときに、才能が生み出されるのだと思う」という説の理にかなっています。
ギフテッドかもしれない子を持つ親としてできること
「ギフテッドかどうか」を早く判別することが重要なのではありません。アインシュタインやエジソンもそうですが、子育てをしていく中で子供が夢中になっていることや興味を持っているものに親が気づいて、適切な環境や、挑戦する機会を与えることで潜在的に能力を持っている子たちは才能を発揮して行きます。
少し難しいくらいの挑戦をする機会は達成するために努力をするかもしれませんが、親が期待をして過剰なプレッシャーや負荷をかけることはまた異なります。
息子を見ていて思うことは、刺激や学びを幼少期から常に探し求めていました。
親からするとあまり意味がないんじゃないの?将来役に立たないのでは?と思うことも、できる限りその知りたい、追求したい気持ちに寄り添うようにしていました。
例えば
夜、カブトムシを捕まえる罠を仕掛けて明け方見に行っても何もいなかった、
次の日は違う罠を仕掛けてもやっぱりいなかった、もしかしたら仕掛けた場所がダメだったのかもしれない。
このような幼少期の小さな失敗体験の積み重ねこそ、それが後々、青年期や大人になってからの問題解決能力やレジリエンスの強さにも繋がるのではないでしょうか。
また、ギフテッド児であった場合は、非同期発達が見られたり、敏感さや激しさを持ち合わせているケースも多いと思います。そのため、家や親は安全地帯であるということを常にメッセージとして伝え続けるといったことが大切なのではないかと思っています。
まとめ
アインシュタインの親は、好奇心に火をつける役割をしました。
きっと両親は言葉が遅いことを気にしながらも、子のことをよく観察し、タイミングよく興味関心のあることを与えたので才能が開花したのでしょう。
親としてはできないことばかりに目がいきがちですが、何に興味関心があるのか、成長過程で都度観察しサポートしていくと才能は伸びるかもしれません。
とはいえ、ギフテッドかどうかに固執するのではなく、のびのびと育つのが一番だと思っています。