ギフテッド2E児の困りごと・生きづらさ ~小学生低学年編~

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ギフテッドの困りごと

ギフテッドと聞いて持つイメージはどのようなイメージでしょうか。
「勉強ができる」「飛び級するような子」「なんでもできる子」「優等生」などでしょうか?一部そのようなギフテッドの子もいるかと思います。

しかし、ギフテッド児には高IQという特性以外にも、様々な特性を持ち合わせており、その特性が日々の生活で困難を引き起こすきっかけにもなっています

困りごとに先に気づいてなんとかしようと発達クリニックを受診し、WISCなどの検査をしてみたところ高IQが判明したという方も多いのではないでしょうか。

我が家もまさにそのパターンで、このギフテッドの特徴や特性に、家族や担任の先生などが気付いていない場合、学校生活や日常生活において困難を極めることがあります。

ギフテッドの特性については以下の記事をご覧ください。

そんなギフテッドでありながら、発達障害の特性を持つ「ギフテッド2E」の息子についての困りごとについて今回はお伝えします。

目次

息子の2Eのタイプ

はっきりとASD(自閉スペクトラム症)の診断がついているというわけではないですが、息子はASDの傾向があるといわれています。昔でいう「アスペルガー症候群」です。「傾向がある」とはどういうことかというと

ギフテッドの場合は、IQの高さである程度カバーしてしまうので診断はなかなかつかない。

とのことでした。アスペルガー症候群は、知能やコミュニケーション能力や学習は問題がない一方、社会性に欠けたり、人の気持ちを考える事が苦手な傾向があるとされています。

共感能力や他者を思いやる気持ちがわからないため、学校生活においてうまく振る舞えないということがありました。また、見通しを持たずに行動するため、時間通りに行動ができないといったことがありました。

前提として、ギフテッドでも、知的障害を除いて、学習障害などどんな障害にもなりうる可能性があるとされていますギフテッドなのに学習障害?と思われるかもしれませんが、ギフテッドは単に「知的能力が高い人」というわけではなく、学習障害のあるギフテッド児もいます。

こういった特異性がギフテッドの能力を消してしまい、発達障害だと誤診されてしまうことがあったり、逆に「ギフテッドだから」と他の障害が見過ごされていることもあり、適切な診断と支援が受けられないことも多いようです。

これからお伝えする困りごとは実際に直面した具体例となります。あくまで我が家の場合ですので、ギフテッド2E全員に当てはまるわけではない旨、ご理解の上お読みいただけたらと思います。

2Eについてはこちら☟

感情の過興奮性による激しさ

ギフテッドの根底に流れるものは「激しさ」です。

とにかく喜怒哀楽が激しく、さっきまで機嫌よく笑っていたと思ったら、ちょっと自分に不利なことがあるとものすごい剣幕で怒っていたり、ということが日常茶飯事です。

そんなムキになることではないよね、と私は思ってしまうことも、息子は怒り120%くらいで怒ります。
例えば、クラス対抗大縄跳び大会など、勝ち負けが関わっているようなときは顕著です。

エピソード

クラスメイトが引っかかって記録が止まってしまったときは、全身で残念がり、悔しがり、時にはその子にとげとげしい言葉を発してします。

→その引っかかってしまった子は落ち込んで泣いてしまい、その後、先生を含めた3人で話し合いが始まります。

→息子はその子を責めたいわけではなく、ただただ「勝ちたい」だけなのですが、先生にお友達を傷つけてしまったので謝りなさい、と言われます。

→でも、自分の言い分は一切聞いてもらえず、悔し涙を流します。(怒られて悲しいから泣くのではなく、分かってもらえない悔しさで泣きます)

→学校から電話がかかってきます。



この感情の激しさに、家族含め周りは困惑してしまうこともよくあります。
感情をコントロールする方法を習得することが、激しさをもつギフテッドにはとても重要な課題なのです。

逆になにかワクワクドキドキするような楽しみがあると、全身全霊で喜びや嬉しさを表現します。同世代の子を育てているお母さんからすると「(年齢不相応で)かわいい」というような表現をされることもあります。

息子の場合は、感情の中でも怒りの感情のコントロールが苦手だったので、アンガーマネジメントの本を使ってトレーニングをしました。

友達にズルされたとき、先生に叱られたとき、嫌な人の隣の席になったとき、など詳しい場面を想定してコントロールするスキルが記載してありお勧めの一冊です。

感覚の過興奮性による過敏さ

年齢が上がるにつれて、特定の食べ物の触感や味に大げさな反応をするようになりました

幼児期は好き嫌いはさほど感じたことはありませんでしが、小学校に入ってから目立つようになりました。

シャリシャリしたりんご、梨などの果物を嫌がるようになり、スイカは種が嫌、メロンは舌が変になる、バナナはねっとりしている、などの理由をつけて全く食べなくなりました。

納豆もここのメーカーじゃないと食べない、ヨーグルトはこのメーカーのブルーベリー味、などとても味覚の幅が狭くなってきました

ピアノを弾くので、爪は基本短くしていないといけないのですが、爪を切った後の感覚が苦手なようで、爪を切るときはあれこれ理由をつけて後回しにします。家じゅう走り回って逃げるので寝ているときに切ることもありました。(※追記 12歳になり、ようやく自ら爪を切るようになりました!!!)

もとても敏感です。一度聞けばピアノで弾くことができたり、遠くから近づいてくるフェラーリのエンジン音に気づいたり。騒音や雑音を嫌がるというよりは、音が外れたりズレたりするのがたまらなく嫌だそうで、音楽の先生がピアノの音を外したりするとイライラするとのことでした。

ピアノが下手な先生の授業はイライラするそうで、授業態度が悪くなり、音楽の成績も悪くなるということもありました。

息子は服の肌触りなどを嫌がったりしたことは一度もないのですが、家ではいつも薄着です。
医師曰く

お母さんとは感覚が違います。放っておいてください。
体が熱いんでしょう。本人が寒いと感じれば着るでしょう。

それからは、「服を着なさい!」と声をかけるのをやめました。私基準で物事を考えるのをやめたらとても楽になりました。

学校生活で浮いてしまう

ギフテッドの特性として、新しい情報を人よりも早く習得する習性があります。

周りのスピードに合わせるのが退屈に感じてしまい、授業中に外を見ていたり、手遊びをしたり、椅子を前後に揺らすなど、多動に似た様子が見られることがあります

一つの算数問題になぜみんなそんな時間をかけているのかわからない。
答えがすぐわかるから思わず言ってしまうと怒られてしまう。

日本の教育はIQ100の子に合わせているのでそれに大きく外れてしまう子にとっては合わないのです。
授業中、暇だから次々に思いついたことを質問してみたり、問題を言い終わる前に出し抜けに答えを言ってしまうなど、2、3年生の頃は授業中もうるさいとよく先生に叱られていたようです机ごと廊下に出されたり、みんなの前で怒られたりと、結果的に孤立し、自己肯定感の低下にもつながります

息子は外交的なタイプで、お友達と遊ぶのも好きなタイプなので、わかってくれる友人ができないのはとてもストレスだったようです。

字が汚い・繰り返し学習は嫌い

勉強

また、漢字ドリル、計算ドリルのような繰り返しの学習が嫌いで、なぜ何度も書かないといけないのかというところに疑問を持ってしまいやりたがりません。

日本の教育ではしばしば字をきれいに書くことを評価します。しかし息子は書写の時間以外はなぜノートの綺麗さが必要なのか疑問を持つため、時間をかけることはしませんでした

そうするとせっかく宿題を提出しても直しだらけで、更に本人はやる気をなくしていきます。
後々知ることになるのですが、ギフテッドは字があまり上手くなかったり、汚いことはよくあるそうです。これは、「処理速度」の低さが関係しているようです。

またギフテッド児は、好きな分野や得意な分野に関して、知識を深く学ぶ習性があります。

周りがゲームの会話をしている中、釣りが趣味だったので同じ趣味の友達を見つけるのが難しかったり、同世代の友達とは話が合わないこともよくあります。

なかなか気の合う友達が見つからず、本来は友達と遊ぶのが大好きな子でしたが、一人で家でユーチューブなどを見て過ごすことが多くなりました。

エネルギーの高さゆえの注意欠陥、多動

ギフテッド児は、常に刺激を求めており、色々な事に興味関心があり手広く興味の幅を広げるので時に、注意散漫だと周囲に思われることがあるようです。

ギフテッドはADHDと似た行動特性が多いそうで、それが誤診につながるとし警鐘を鳴らす専門家もいるほどです。ギフテッド児のこの特性を知らない教師は、発達障害を疑い受診を勧めてきたりもしました。

正直、私自身も息子はADHDかなと思う点が多々あり、息子が二年生の時、授業中にあまりに先生に注意されるので、これも医師に相談したことがありました。

医師によると、息子の場合の多動の特性は「ADHDの症状は多少あるがこれはギフテッドでありADHDではないタイプ」とのことでした。

ADHDの場合はどんな状況においても多動の症状がでたり、子供自身がその活動性をコントロールできません。
お子さんの場合は、授業がつまらないときにのみ多動になったり、自分の興味がないときのみ不注意が起こります。
逆に、自分の興味のあることには驚くほどの集中力を見せたり、寝る間も惜しんできりのいいところまでやろうとします。
また、多動に関しては、公共の場など人の目があるところでは自分でコントロールして黙っていたりじっとしていられるので違うと思います。

注意点としては、もう一つのパターンとして、「ギフテッドかつADHD」の特性を持ち合わせた2Eのタイプもいるので専門家による適切な評価を受ける必要があります。

非同期発達

「非同期発達」とは得意な能力(息子の場合は言語・認知・運動)をどんどん発達させ、他の能力(社会性・情緒など)との差ができてしまい、発達が同期していないように見えるというギフテッドの特性の一つです

息子の場合はギフテッドによる非同期発達に加えASDの特性も重なり本当に理解不能な言動をしたりします。

二年生の時の個人面談で、「〇〇くんは勉強はできますが、休み時間の前に次の時間の授業の準備をしてから遊びに行く、連絡帳を休み時間に書く、朝登校したら宿題を提出する、といったクラスみんなができるようなことができません。」と先生に言われたことがありました。
神経質な先生だったこともあり息子は目をつけられ、席は教卓の隣だったとか。

先生が個人面談で「なんでこんなに勉強はできるのに、生活のことができないんでしょうね」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。
そんなことは家では日常で、脱いだら脱ぎっぱなし、食べたら食べっぱなし、おやつのごみはそのまま、口が汚ければ袖で拭く…毎日口を酸っぱくして言ったとしてもできないものはできないのです。解決策をむしろ教えてほしいくらいでした。

二年生の終わりに発達のクリニックにかかったときに学校の個人面談でこんなことを言われたと話したところ、

ギフテッド児は一般的に、知的年齢は実年齢より高いけれど、精神年齢や社会性は年相応もしくは年齢よりも低いので、周りになかなか理解されにくいのです。
知識や喋り方は論理的に話すので大人びているけれど、人生経験は年齢相当しかしていないし、情緒的な発達はむしろ幼かったりします。

それからは、一度は声をかけるけれど何度もガミガミ言うのはやめてみました。この特性を知るまでは、毎日毎日なんで同じことを言わなきゃいけないのだろう、とイライラしていました。そしてなんとなく他のことも大人と同レベルのことを要求していた気がします。

しかしこの特性を理解してからは、 「さっさとこんな家出て、一人暮らししてやる!クソばばあ!!!!」と言っているときは、「あ、今は15歳の反抗期」、お風呂で100均のねじで動くボートでずっと遊んでいるときは「今は5歳の幼稚園児」、公園でサッカーやバドミントンをしたり友達と遊んでいるときは「年相応の10歳児だな」と見られるようになりました。

繊細なゆえ周りからの拒絶や批判に敏感

いつからか、自分は同年代の友達とは考えていることが違うようだ、ということに本人が気づき始めました

特性についての本人への告知は10歳の頃でしたが、2年生頃から「クラスに気の合う子がいない」「笑いのレベルが低い」と言うようなことを言い始めました。

「僕のことを誰もわかってくれない」と言っていたこともあります。

(※追記 同じようなレベルで会話ができないことに最初は疑問だったようですが、高学年になるにつれて周りに合わせることで、拒絶されないように必死である様子が見られるようになりました。)

社会性の低さ

これはギフテッドの特性というよりは、2Eの部分にも関する項目ですが、空気を読むことや、相手の気持ちを考えることが非常に苦手です。

社会性が低いため、一般論のような「人を傷つけるような言動をしてはいけない」というようなことができなかったり、周りに合わせるといったことができないので、周囲からは変わり者と思われることがありました。四度の転校をしているため、最初は「変わった子が来たぞ」「〇〇君が来てから風の流れが変わった」など言われることもあり、周りに受け入れられるまで時間を要します。

ただこれもギフテッドやアスペルガーの子には多いようですが、非常にユーモラスなので、クラスで笑いを取ったりして徐々に馴染んでいくようです。

転校する先々の学校ではトラブルも多く、周りに理解される前の段階で、大体学校から電話がかかってきます。「お母さん、今日は女子の〇〇さんにこんなことを言い口論になりました」など転校先でのトラブルはお決まりでした。

この社会性の低さに関しては、ギフテッドの場合、年齢とともにゆっくり成長していきます。

困り感を感じている時の対処法

まずは親や教育関係者などその子を取り巻く周りの大人が理解をすることが大切です。一人でも多く、理解してくれる大人がいることで困り感は軽減されます。

IQ130以上を一つの目安にするならギフテッドは全体の2~3%いるとされており、クラスに一人はいる計算になります。とはいえ、マイノリティーであることは事実なので、専門医曰く、やはりギフテッド児もIQ70以下の子に支援があるのと同じように、その子に合った支援が必要であるとのことです。

ギフテッドの特徴を理解するためにおすすめの本をご紹介。

まとめ

このように、日本の教育システムではまだギフテッド教育はもちろん、先生たちもギフテッド・ギフテッド2Eの存在すら知らない先生も多く、ギフテッド児は理解をしてもらえず困難を抱えているのではないかなと思います。

少しずつ日本も動き出してはいるようですが、体系的なシステムができるのはまだまだではないかなと思っています。


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