ギフテッド2Eの繊細さと激しさ 癇癪・暴力・暴言・問題行動を止める方法

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暴力

ギフテッド児の癇癪、暴力、暴言を止めるには?

ギフテッドの激しさは、癇癪、暴言、暴力などの問題行動として現れることもあります。まずは何が原因で起こっているのか探る必要があります。我が家の場合は、環境が合わず二次障害のようになっていました。問題行動が見られる場合は、長期的に向かい合う必要があります。

いきなりセンセーショナルなタイトルですいません。やはりどこまでせきららに記すかというのは毎回悩むのですが、もしかしたら同じような悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれないと思い、全てではないですが一部お伝えしようと思います。

始める前にあらかじめお伝えしておきたいことがあります。
現在の息子及び家庭内の様子ですが、家庭内暴力は全くなくなりました。ゼロです。ここまで約2年かかりました。渦中にいる時は日々絶望でした。できることはしたと思います。本も大量に読みました。たくさん涙もしました。
今まさに渦中にいる方にこんなやりかたもあるんだなと、少しでも参考になれば幸いです。今、必死でもがいている方に届きますように。

暴力はなくなります!今同じように悩んでおられる方も、解決できるんだということ。そして時間はかかるかもしれませんが、いつまでもこの状況が続くわけではないんだ、ということをおわかりいただけたらと思います。

※ 注「Q&Aのカテゴリーについて」

こちらの「ギフテッド児のお悩み別Q&A」のカテゴリーでは、実体験に基づいた筆者なりの考えをまとめています。
今まで、数々の医療機関・専門機関を受診して受けたアドバイスや、専門書に基づいて実際にやってみてうまくいったこと、いかなかったことについて記載しています。
ギフテッド児もさまざまなタイプがいるため、その子によっては効果がない場合もございます。その旨ご理解の上、参考にしていただければ幸いです。

目次

荒れていた原因

手が出るようになったのは海外生活をしていた9歳ごろ。急に人が変わったかのように激しく怒りをむき出しにするようになりました。ちなみに幼少期の頃は喜怒哀楽が激しかったものの「癇癪持ち」ではありませんでした。

当時はまだWISCの検査も受けておらず、なぜこんなに荒れているのか、理解できませんでした。ちょうどこの頃、コロナウィルス感染症も流行りはじめ、世の中が不安とストレスにさらされていたのでそのせいもあるのかな、と私なりに解釈していました。

しかし、日に日に怒りっぽくなり、思うようにいかないと手が出たり暴言を吐くように。

反抗挑発症も疑うほど激しさは増すばかり。

問題行動の原因に関しては、ある程度落ち着いた今だからこそわかることも多々あります。原因はそれぞれお子さんによって異なると思いますが、我が家の場合は以下のようなことが原因でした。

考えられる原因(我が家の場合)
  • 発達特性のため、感情のコントロールが苦手
  • どうすることもできない怒りを家族に向けていた
  • 海外生活、学校、家庭環境が合わない
  • 遊ぶ友達がいないため、発散ができなかった
  • エネルギーが有り余っていた
  • 誰も分かってくれないことへの不満
  • 思春期ホルモンのせい

ギフテッド児にもタイプがあり、タイプによってはギフテッドの持つ激しさは、暴言や暴力として現れることがあります。怒りの沸点が低く、怒りの表現の仕方も激しいため、度が過ぎたように周りからは見えてしまうかもしれません。

またギフテッド児は繊細な面があり、不適切な環境にさらされ続けると反抗挑発症や、うつ症状などの二次障害が出たりすることがあります

2EでASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠陥多動性障害)などの発達特性や発達障害がある場合は、感情のコントロールが苦手なゆえ、手が出てしまうことがあります。

そして当然、ギフテッドだからみんながみんな暴力的というわけでは決してありません。書籍「ギフティッド その誤診と重複診断: 心理・医療・教育の現場から」の中にこんな一文があります。

幸いなことに、抱えている怒りが激しいにも関わらず、ギフテッド児や成人ギフテッドが暴力的になることは多くはない(Cross,2004)

引用元 ギフティッド その誤診と重複診断: 心理・医療・教育の現場から

あくまでも一例としてお読みいただければ幸いです。

家庭内暴力とは

家庭内暴力は、家庭内で起こる、家族に対する暴力的な行為や言動のことである。広義には、夫、妻、子供、祖父、祖母など、家族間の暴力・暴言(また、そこからおこる物品・建造物の破壊・破損など)のこと。
狭義には、両親、まれには祖父母に向けられる、子供や孫からの暴力・危害・虐待・暴言・罵詈雑言(および家庭内の物品・建造物などの破壊・破損の行為)をいう。

引用元 Wikipedia「家庭内暴力」2022年7月25日 (月) 22:58 (UTC)

このように、家庭内暴力とは「子→親」に向かう暴力のことを指します。我が家はまさにこの図で、しかもその矛先は、母親である私に主に向けられました。

特徴として、あくまでも閉鎖的な家庭内でのみ現れ、決して外で友達や先生にそのような態度をとることはありませんでした。

どうしようもない苛立ちやフラストレーションを自分より力の弱い者へ向け、何かを訴えているような、親への甘えにも見れるような、そんな感じでした。

止まらぬ暴言と暴力

この頃、もう家族として機能はしていなかったと思います。みんながそれぞれ限界で相手を思いやるような言動はできなくなっていました
いつも家族のバランスを取ろうと気を遣ってくれる妹も体調不良を訴えるようになったり、学校の行きしぶり、食欲不振などが出てきました。お弁当も一口も食べずに帰ってきたり、保健室に通うようになりました。当時かかっていたカウンセラーの方に、妹のことが心配だと言われるくらいの状況でした。
そんな娘の様子を主人に伝えても、心配するどころか、自分が思い通りに仕事ができないことに苛立ちさえ感じているようでした。

今すぐ適切な支援なり治療を受けなければ、悪化の一途だと思い、もう会社の辞令を待つのはやめて動くことにしました。
会社としては、家族を先に帰したり、単身赴任の制度は整っていたので、その制度に沿って母子で帰国の準備をすることにしました。

問題行動を止める方法

安全な空間を確保する

まず、すでに暴れているときにどうすればよいかですが、実際に本人がかんしゃくを起こし、暴れているときは何を言っても意味がありません。

そういうときは、鍵付きの部屋に避難し、その場から離れるようにしました。幸い、部屋に鍵がついていたのでよかったのですが、今考えると相当異常な状況です。それくらい当時は身に危険を感じることも多く、お互いクールダウンするためにも、一旦その場を離れるというのは効果的でした
根本的な解決策ではありませんが、ひとまず既に感情的になっている時はそれ以上刺激をせず、怒りが去るのを待ちます。

本人が手が出そうになった時にすること決める

・怒りを数値化する(今の怒りはレベル9など10段階で示すことで客観的になる)
・スクイーズなどを握る
・深呼吸をする

興奮していているときに、切り替えるのはなかなか難しいのですが、いくつか自分の中で冷静になる方法をもっておくことは有効でした。
これらの方法は「アンガーマネジメント」としても本に載っている方法です。
アンガーマネジメントについてはこちら☟

子供向けのアンガーマネジメントの本も多数出版されています。小学生くらいから身につけておくと、だんだん本人も対処ができるようになります。

環境調整、環境を変える

そして、根本的に暴力をなくすために我が家が一番効果的だったことは、環境調整でした
その場でもがくよりも、少しでも本人の負担やストレスのかかる環境を回避することでそれだけで劇的に変化しました。

息子は、基本的には挑戦したり新しいことをするのは好きな性格なのですが、その反面、繊細な部分もあるため環境調整はとても重要になります。

当時、「住みたくもない海外に住む羽目になってやりたいことができない」といったことはよく言っていました。習い事、友達と遊ぶこと、祖父母に会うこと、100均がないこと、美味しい和食を食べること…などどれも小さいことに思えても生活に不自由さを感じていたのは間違いありません。

「住んでいた国はどんなところ?」と第三者に聞かれると、「住みにくいところ」といつも言っており、徐々に不適応によるストレス症状が見られるようになりました。

実際、息子の要望は聞き、環境調整はしてきたつもりですが、どう頑張っても解消できないこともありました。海外生活に憧れている人からしたらぜいたくな悩み!と思われるかもしれませんが、息子にとっては不自由さのほうが勝っていました

日本ではもう子供だけで習い事に行ったり遊びに行ったり行動範囲も広がってくるかと思いますが、まず何をするにしても親と一緒ではないといけないというのも気に入らなかったようです。

当時通っていた学校も合わず、途中で学校を変えたのですが、学習環境も本人にとってはストレスの原因でした。

そして、帰国してからは、帰国後は羽が生えたように行動範囲は一気に広がり、毎日公園で友達と遊ぶようになり、ストレスはある程度自分で発散できるようになりました。

もちろん一夜にして好転したわけではないですが、環境を変えることで、症状は徐々に落ち着いてきたので、まさに環境が合わず、二次障害を起こしていました

問題行動につながるパターンを止める

暴力に関しては、手が出る流れは大体パターン化されていました。例としては、

やるべきことを後回し、やらなくなる

親が声をかける

うるせーと反抗、口ごたえ

それでもやらないので更に声をかける

暴れ始める

帰国後にかかった医師からは、暴力も情熱としたうえで、我が家の場合はこの流れを止めるためには、「やるべきことを絞らないといけない」というようなことを言われました。

まず、1番大事なことは生きていくこと、体をつくること。
睡眠や食事といったこと。

2番目は公的なこと。学校とか宿題とか。
一つのことにのめりこんでいくタイプなので、こういう人は、時間管理はできない人。底をみないと気が済まないから時間は足りなくなる。

とはいえ、大人を巻き込んだときは大人の社会のルールを守らないといけない。
11歳になると自分のことを自分で考えてできるようになる。
もうそろそろ絞って、どうしてもやりたいことを残していくのが11歳。

そして3番めに時間的な余裕があれば遊びや好きなこと。
人の頭はあっち行ったりこっち行ったりするので、順番をつけていくと良い。

先生ももうすぐ自分で考えられるようになる。とおっしゃるのですが、私は半信半疑。
暴言を吐き、自分のことしか考えておらず、他人のことなんてお構いなしの子があと数か月で落ち着くなんて、という思いでした。

ゲーム、友達と遊ぶこと、卓球、テニス、バドミントン、ユーチューブ、ピアノ、作曲、中学受験…とにかくやりたいことが多すぎて時間が足りなくなり、やらなければならないことができなくなっていました。

しかし、先生の助言どおり、11歳になり自分の中で「中学受験と音楽」の二つにやりたいことを絞ったようでした。

結果、やりたいことを絞ることで、やらなければならないことに時間が回せるようになりました。
すると、こちらも声をかける頻度が減り、結果的にこの暴言・暴力のサイクルが減っていきました。

専門機関にかかり、第三者を介入させる

家庭内という閉鎖的な空間で起こり、内容も内容のため、なかなか周囲に相談しにくいかもしれません。しかし、エスカレートする前にできるだけ早めに外部に助けを求めることで最小限に抑えられるかもしれません。

息子も母親に100回言われるよりも、医師に1回言われた方が説得力があるようで素直に聞き入れることが多かったです

発達クリニック、児童精神科といった医療機関だけではなく、児童センターなどの公的機関も相談に乗ってくれるのでためらわずに相談してほしいです。相談できる機関は反抗挑発症に関する記事に記載しています。

投薬をする

息子は帰国後、ギフテッドにも精通されている先生のいる発達クリニックにかかりました。そこでも、発達障害とは診断名はつけられませんでしたが、医師に言われたこととしては、

凸凹があるからそうなる。
こういう子たちは自分の常識と社会の常識が違う。

多面的に見て共通項を見るのが苦手なので、あなたはこうしたら得ですよ、と理解させ、役割を与えて社会性を身につけていくのが良い。

衝動的な部分を抑えるために投薬をしてはどうか?


というようなお話でした。
そしてこの日からADHDのインチュニブという薬を処方されました。
ADHD(注意欠陥多動性障害)の薬?と思われるかもしれません。私もASD(自閉スペクトラム症)ではないの?と思い医師に聞いたところ、ADHDではないが、同じ症状があるので、その薬でその症状を抑えるとのこと。

すぐ情動的、感情的になってしまう衝動性を改善していくことで、物事の見通しを立てられるようにし、感情のコントロールができるようにしていく、とのことでした。

もちろん今は必要がなくなったので飲んでいません。まさに見通しを立てられるようになり、感情のコントロールが以前よりできるようになりました。
投薬に関しては、ギフテッド児が発達障害と誤診され投薬されてしまうというようなことも知っていましたが、その先生はギフテッドの特性も踏まえた上で処方してくださっています。
薬に関しては、躊躇される方もいるかもしれませんので、その辺は医師と本人とよく相談されることをお勧めします。

投薬に関しては、本人の意思も大切になります。また別途詳しくお伝えできたらと思います。

もう一つの原因?思春期早発症

これは帰国後しばらくしてからわかったことなのですが、思春期の性ホルモンのせいでもあることがわかりました。

男児は平均的に12歳ごろから二次性徴と呼ばれる体の変化が始まるのですが、息子の場合は約2年早く思春期が来ていました
検査をしたのは11歳でしたが、ホルモン値を調べたところもうこの時点(10歳)ですでに思春期を迎えていることがわかりました。思春期が2年早いこと、骨年齢などから思春期早発症との診断でした

今まで色んな発達障害、反抗挑発症など色々な診断名を疑ってきましたが、ある意味これが息子に付いた初めての診断名でした。

思春期の時期は性ホルモンの影響で、体だけではなく心も大きな変化が生まれます。反抗期は自我が芽生え、自立をはじめ親離れをしたがる時期のことですこの頃の衝動性は思春期特有の行動とも重なるため、これも要因としてはあるのではないかなと思っています。

当時思春期がこんな早く来るとは思っておらず、分かってあげられることができませんでした。当時少しでもわかっていたら違ったかもしれません。

ギフテッドは早熟だと言われることがあります。思春期早発症に関しては、精神的に大人びていたり、早く大人になりたいという気持ちが強いためそうなるのか、疑問だったため双方の医師に関係があるかどうか聞いたところ、ギフテッドがみんな思春期早発症なわけではない。思春期早発症は環境要因として夜更かしと肥満、あとは遺伝が大きいとのことでした。

まとめ

以上、我が家が取り組んだ対応策です。なんでこんなに激しいのかと日々周りの大人は疲弊していることと思います。しかし、もしかしたらどうしようもない行き場のない思いを暴言として表しているのかもしれません。

本人の思いを聞き、必要であれば医療の介入をすることにより時間はかかるかもしれませんが、一つずつ対処していけばいずれおさまる日は来ます。
決して我慢したり耐えて受けるのではなく、暴力は絶対にダメなことであるというのを前提に対応していくことが大切です。

最後に、ギフテッド児といってもタイプは様々です。我が家の場合は外へ外へ不満を爆発させるタイプでしたが、内へ引きこもってしまうケースもあります。必ずしもギフテッドみんながこのようなタイプとは限りません。


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