4年生夏からZ会の通信教育 中学受験コース でなんとなくスタートした我が家の中学受験。
第二回の今回は、「ギフテッドの特性を最大限に活かして中学受験に臨む方法について」記していきます。発達特性は必ずしも全てがマイナスというわけではありません。凸凹の凸の部分、得意な部分をうまく活かせば、勉強面でプラスに働くこともあります。
発達特性のポジティブ面に目を向けた中学受験についてお伝えします。
中学受験のカテゴリーについて
我が家は何学年も先の算数先取りしているような算数が得意なギフテッドでもなければ、英才型のギフテッドではありません。
知能検査で言語理解が高いからといって国語が得意なわけではありません。
あらかじめお伝えしておくと、せっかく読んで頂いても、偏差値30からの御三家合格!とか、これをやったら難関校に受かります!といったノウハウは一切得られませんのでご了承ください。
この特性はこう活かす!
①高い集中力がある
ASDやADHDなど発達凸凹の子に見られる特性で多いのが「過集中」。過集中とは、自分の関心のあることに没頭し、周りの声も聞こえなくなるほど過度に集中することを言います。この過集中は中学受験には有利な特性です。息子の場合、時間の切り替えがとても苦手だったので勉強に取り掛かるまでは時間がかかるのですが、やり始めたら止まりません。
息子の場合は、コツコツ努力型ではなく、やる気のある時に過集中で一気に猛烈に勉強していました。
5年の途中から転校した学校ではたくさん友達もでき、週7日公園で毎日暗くなるまで遊んでいました。受験生が遊ぶなんて、と信じられないかもしれませんが、息子にとって友達と遊ぶことは今までできなかったことの一つ。遊びに対してが一番貪欲だったかもしれません。
中学受験もしたいけれど、友人と遊ぶ時間も譲れないとのことで「中学受験」と「遊び」を6年生の2学期の終業式まで両立させていました。
同級生の子を持つママ友から、1日も遊んでいないどころか週6塾に行っているという話を聞くと、流石に親としてはとても心配になりましたが、それでもよそはよそ、うちはうち、のスタンスで本人の意思を尊重しました。(遊ぶなと言っても遊ぶので言うだけ無駄なのです)
②早熟である
中学受験は早熟タイプの方が圧倒的に有利と言われています。
ギフテッド児やASD、ADHDなど発達特性がある子は知的好奇心が旺盛なことがあります。図鑑をずっと眺めていたり、ある特定の生物にやたら詳しくなったりということはあるのではないでしょうか。
また、発達凸凹があっても、語彙力に長けていたり、算数だけずば抜けて得意なことはよくあります。この知能面の早熟さは、膨大な知識を学ぶ中学受験では有利に働きます。
その子によって得意なことは異なりますが、得意な分野はどんどん知識をつけていくと良いと思います。
親としては苦手なことこそ時間を割いて欲しいと思ってしまいがちですが、得意なこと、好きなことこそ強みになるので伸ばしていくと良いと思います。
ただし、ギフテッド児は精神的・社会的に早熟ではない部分もあります。(非同期発達)
特に2Eの息子は、人の気持ちを考えることが苦手です。これは国語の読解問題にかなり影響を及ぼしました。
説明文はまだ良いのですが、小説や物語がとにかく苦手で、心情を読み取る選択肢の問題はかなりの確率で外してきます。
語彙力があったり論理的思考だったとしても、必ずしも「国語が得意」とはなりません。このように必ずしも全ての面において早熟ではない点に注意しなければなりません。
③習得するのが早い
新しいことを習得するのは人よりも早いと感じます。
小さい頃から、練習を繰り返さなくてもできるようになったり、算数の問題などは、過程を教えなくても答えに行き着く、ということがよくありました。
算数の解き方を見ていても、私が解答を見て理解している間に、答えまで行き着いていることがよくあります。この習得の早さはスピード勝負なところがある中学受験においてはとても有利です。
①で挙げた「過集中」と③の「習得の早さ」の二つがあれば、一般的な人より短い時間で習得できます。
Z会の通信教育 中学受験コース は4年生の夏休みから学習していましたが、6年生からの通塾で中学受験の算数を一通り習得できたのは特性のおかげかもしれません。
④認知特性を使って効率よく
一方、「繰り返し学習」は大の苦手。漢字を覚えるときは、多くの人は「漢字ノートに繰り返し書いて覚える」のではないでしょうか。何度も書く学習方法は一般的には有効かもしれません。しかし、必ずしもそれだけが覚える方法ではありません。
息子自身も合わない学習方法は一切やりませんでした。本人がやりたくないものをやらせようとした日には、親子のバトルが勃発してしまうので、お互いのためになりません。そこで、漢字は「さかもと式見るだけ暗記法」を使用するなど工夫しました。
息子は「聴覚優位」なので「見るだけ暗記法」だけでは習得は難しいのですが、何度も書くよりは合っていたようです。強要は衝突の原因となるので注意が必要です。
見て覚えるのが苦手な場合は、語呂や歌に乗せて覚える方法も効果的です。
聴覚優位のお子さん向け。
認知特性を知って特性に合った学習方法で学ぶと発達凸凹があるタイプはグッと伸びる可能性があります。認知特性については以下の記事をご覧ください。
⑤問題解決能力・やり遂げる能力が高い
困難にぶつかった時、問題解決能力が高いという特性があります。知識の量も受験では必要ですが、中学受験の問題はただ知識の詰め込みだけで何とかなるようなものではありません。
息子は、答えを何としても自力で導き出そうとする粘り強さや、いろいろな方法で試したがる「試したがり」の性質もあったため思考力を問われる算数の問題には活きたと思います。
「パターンシーカー(パターン探しの達人)」について書きましたが、中学受験では、パターンを発見し、分析して、解いていくような問題も多く見られます。この特性も、活かせる特性です。
好きなこと、はまっているものを活用する
発達凸凹があるお子さんの中には好きなこと、モノがある子も多いのではないでしょうか。息子はコナンとドラえもんがとても好きでした。学習漫画は50冊くらい持っていますが、この「好き」を勉強に取りいれることで、本人にとっては勉強ではなく娯楽の一部として捉えていたようです。
その他、使用した中学受験本については楽天ルームにまとめています↓
興味のないことにどう取り組むか
ギフテッドや発達特性のある子の場合、興味関心のあることには過集中で学ぶ傾向があります。しかし、無意味なことや、興味のないことを学ぶことは極端に嫌がることがあります。
息子も、興味のあることはとことん追求するけれど、興味がないことはやろうとしないという特性があります。
この特性が邪魔をして、初めは4教科学習をしていましたが、途中から興味のない社会をやらなくなり、結果的に2教科になってしまいました。幸い帰国子女枠での中学受験を考えていたので、2教科で受けられる学校も多くありました。我が家は特性も踏まえ、興味のないことはやらない、という選択をしました。
イヤイヤ取り組むよりは、潔く科目数を減らして受験勉強に取り組むのも一つです。ただし、一般受験の場合、関東の上位校はほとんどの学校が4教科受験です。
学校が求めるレベルは学校によって異なりますが、受験科目が少ないからといって中学受験は有利かといったらそれは異なります。2教科受験の方が倍率が高くなったり、算数1教科受験の場合は、算数がずば抜けて得意なお子さんが受験するのでその点はご注意を。
結果として2教科受験や1教科受験になるのであれば良いと思いますが、やる前から受験科目を2教科に絞るというのはお勧めしません。減らすことによって受けられる学校の選択肢が減ることなど十分デメリットも伝えながら本人と決めることをおすすめします。
Z会の通信教育 中学受験コース は1教科から受講ができます。
ワーキングメモリが弱い
その他の発達特性が中学受験勉強に関わってくる事柄としては、ワーキングメモリ(短期記憶)が弱いという特性。
発達特性があるお子さんの中には、単純記憶が得意!というお子さんもいらっしゃると思います。その場合は、強みになるのですが、息子はWISC-4によると、他に比べてワーキングメモリが低いという特性がありました。このタイプのお子さんは、長期記憶にするまでが大変かもしれません。中学受験はとにかく暗記量が膨大です。
暗記自体はやればできるのですが、「暗記をするという作業」が好きではなかったので、全てドラえもんの学習漫画で乗り切りました。本を読むことや、ドラえもんが好きだったので、これらの学習漫画は何度も繰り返し読んでいました。
まとめ
発達障害や発達凸凹がある場合の中学受験。中学受験をした方が良いのはわかっていても思うように学習が進まないことばかりでした。
このタイプは一般的なやり方が必ずしも合うとは限りません。その子に合ったやり方で、その子のペースで学習します。
試験内容も、4教科にこだわる必要はありません。適性検査が入試科目だったり、思考力入試といった試験もあります。プレゼンや作文が試験という学校もあるので、勉強が苦手でも得意なことで受験してみるのも一つの方法です。
特性がある子の場合の中学受験は一筋縄ではいきません。親も柔軟に、その子に合ったスタイルで進めた方が、お互いのためだと思います。