海外では早くから取り入れられている「STEAM教育」
海外に住んでいた頃、おもちゃ売り場にはSTEAM教育をうたったおもちゃがたくさん売っていました。コロナ禍でどこも出かけることができず、おうち時間が増えた時、色々な海外製のおもちゃにとてもお世話になりました。
日本でも最近耳にするSTEAM教育ですが、具体的にはどんな教育なのでしょうか。
今回はSTEM・STEAM教育がどのようなものかについてです。またSTEAM教育にまつわるおもちゃも日本でも見かけるようになりました。家庭でもできるSTEAM教育についてもご紹介します。
STEM(ステム)・STEAM(スティーム)教育とは簡単にいうと?
Science,Technology,Engineering,Art,Mathematics等の各教科での学習を実社会での課題解決に生かしていくための教科横断的な教育
文部科学省HP参照
文部科学省によるとこのようにあります。これだけだとちょっとわかりづらいですね。
元々は「STEM教育」でしたが、2006年にヤークマン氏がArtsも必要だと唱え、現在は、統合型STEM教育にArtsの要素を加えた「STEAM教育」と言われることが多くなりました。
「STEAM教育」は、学術科目を、統合的カリキュラムとして計画するためのフレームワークとして体系化するための教育モデルとされています。
読み方はそれぞれ「ステム」「スティーム」と読みます。
簡単に言うと、科目単独ではなく、教科を超えて他科目と関連させて総合的に学ぶことです。
いつどこで始まった?
発祥はアメリカです。2011年にオバマ大統領が演説でSTEM教育を優先課題として国家戦略に掲げたことが広がる大きなきっかけと言われています。これをきっかけにアメリカだけではなく世界的に広がりました。
そして、日本ではだいぶおくれをとりながらも、2020年からプログラミングが必修科目となったり、ICTを使った授業がおこなわれるようになりました。
STEAMとは下記の5つの言葉の頭文字をとって作られています。
STEAM教育を唱えたヤークマン氏の論文に詳しく記載してあり、この論文内のピラミッド図解はSTEAM教育を説明する際によく使われます。
引用元 Yakman, Georgette (2008) “STEAM Education: an overview of creating a model of integrative education”
①科学=Science
②技術=Technology
③工学=Engineering
④芸術・リベラルアーツ=Arts
⑤数学=Mathematics
STEAMの意味
簡単に直訳すると以下のような意味となります。
S (Science)
科学のS。自然現象やそれがどのように影響を受けるかを学ぶ学問。
科学史、物理学、生物学、化学、地球科学、宇宙科学など。
T (Technology)
技術のT。テクノロジーの本質、テクノロジーと社会、デザイン、デザインされた世界、医学、農業、バイオテクノロジー、建設、製造、情報通信、交通、電力、エネルギー
E (Engineering)
工学のE。科学に基づいた創造性と論理の使用。テクノロジーを繋ぎ、世界に貢献する航空宇宙、建築、農業、化学、土木、コンピュータ、電気、環境、流体、産業・システム、材料、機械、鉱業、海軍建築、原子力、海洋
A (Arts)
芸術・リベラルアーツのA。芸術だけではなく、リベラルアーツ、社会学、教育学、哲学を含めた広い範囲。
M (Mathematics)
数学のS。数と演算、代数、幾何学、測定、データ分析、確率、問題解決、推論と証明、コミュニケーション、三角法、微積分および理論
STEAM教育の目的
STEAM教育の目的は、教科の学びを基盤としながら、教科の枠を超えて横断的に学び、問題を見つける力や解決する力、創造する力を育むこととされています。
この力は、目まぐるしく変化するこれからのAI時代を生きる子供たちに、将来必要になるとされている能力です。
Society 5.0 に向けた人材育成~ 社会が変わる、学びが変わる ~によると、以下の力が必要だと紹介されています。
・文章や情報を正確に理解し、対話する力
・科学的に思考・吟味し活用する力
・価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心・探求力
STEAM教育がなぜ注目されるのか
AI や IoT などの急速な技術の発展により、世界は日々変化しています。20年前にはなかったスマホもタブレット今や当たり前。この先20年後は今ある仕事の半分はAIによってなくなると言われています。そんな現代社会を生きる子どもたちには21世紀型の新しいスキルや人材育成の手法が必要となります。
教科・科目の枠を超えたSTEAM教育は、総合的な知識や、現代社会の問題を解決するためのスキルを身につけることができるとされているため世界各国で今注目されています。
家庭での取り入れ方
我が家は特に意識して取り入れていたわけではありませんが、日常的に取り入れていることも多々ありました。いきなり難しいことをする必要はなく、遊びや趣味の延長で取り入れていけたらよいと思います。海外製かつ海外のおもちゃ屋さんで購入したものは当然取扱説明書も日本語ではありませんでした。それでも自ら考え、時にはGoogle翻訳を使いながら遊んでいました。
ギフテッド児は知的好奇心が旺盛という特徴がありますが、どんな子どもも好きなことや興味があることは放っておいても熱心にあれこれ試行錯誤をしながらやってみているはずです。その過程こそSTEAM教育です。
参考までに、以下に我が家が取り入れていたものをいくつか紹介します。値段が高いものもあるので、クリスマスプレゼントや誕生日プレゼントにもちょうどよいと思います。
ギフテッドの特性についてはこちら
知的好奇心を高めるために意識していたことはこちら
STEAM教育玩具
GraviTrax PRO (グラヴィトラックスプロ) スターターセット
友達の家に行くと友達も持っていた!というくらいこのおもちゃは海外ではとても人気でした。重力の法則を応用した走路モデルが構築できるシステム玩具なのですが、パーツを増やしていけるので、広がりのある遊び方ができます。家でよくラップの芯や廃材などを使って自分でピタゴラスイッチを作成していたのですが、その進化版のような感じでした。
遊び方としては、重力・磁力・動力の原理を駆使してコースを作り、ボールをゴールへと走らせます。パーツの種類も多様なので自分だけのオリジナルコースを作ることができます。毎回違ったコースができるのが楽しかったようです。昨年最新版も販売されました。
発掘しながら学べるおもちゃ
海外のおもちゃやさんには、実験や作る系のおもちゃがずらっと並んでいました。自宅で楽しめる実験系のおもちゃは箱を見ているだけでわくわくしているようでした。説明書が読めなくてもGoogle翻訳にかけながら、自分で考えながらやってみていました。化石や宝石を発掘するおもちゃは、床じゅう粉まみれになるので覚悟を。あらかじめ新聞紙を敷いて汚れても大丈夫な状態で始めることをおすすめします。
レゴテクニック
レゴは人気の定番おもちゃですね。幼児向けのデュプロから年齢に応じてだんだんレベルアップできるのでとてもよくできたおもちゃだなあと思います。中でも「レゴテクニック」はアプリと連動したりモーターがついているものもあり、比較的手軽にプログラミング体験ができます。
Z会プログラミング講座
さらに発展してプログラミングを学びたい方におすすめなのはZ会の通信教育のプログラミングです。我が家が受講していた当時はレゴのプログラミングのみでしたが、今はさらにバージョンアップしているようです。
幼稚園年中から始められるコースもできたり、大学入試で新たに取り入れられる科目「情報」対策として受講できるコースまでできたようです。毎月教材が届くので一度やったら終わりとならないところがZ会の通信教育の良さだと思います。
4M
香港を拠点とする4Mは世界60ヵ国以上で愛される世界的ブランドです。日本ではあまり見かけたことがないですが、この4Mのおもちゃは定番でした。コンセプトは「想像力に富み、創造的で、刺激的で、楽しいこと」とあるように、まさに子供の知的好奇心を刺激するおもちゃがたくさんあります。海外製というと品質など不安に思う方もいるかもしれませんが、すべての製品は複数回テストをし、徹底した品質管理を行っているとのこと。
4Mの知育玩具はには「エコサイエンス」「キッズラボ」「クラフト」「STEAM」「ロボティクス」の5つのカテゴリがあります。女の子にもおすすめのものもあるので是非。
番外編 ワンダーボックス
こちらは我が家は受講していないのですが、今は家庭向けSTEAM教育の通信教育もあります。
プログラミング・数理パズル・アート・理科実験など、毎月10種類ほどの教材が自宅に届き、 思考力と創造力を育む、現代型の通信教育です。子どもの意欲を引き出し、 感性と思考力を育てることを目的としており、教材の多くが、 最終的には正解のない自由な創作に行き着くように設計されています。これなら手軽に家庭で取り入れられそうです。